実験の手順
1.マイタケを細かくちぎり、一部は生のまま、一部は熱湯で3分間茹でる。
2.卵を割ってボウルに入れ、泡立たないように混ぜる。
3.卵液を茶こしあるいはガーゼでこす。
4.紙コップに卵液を50ml入れる。これを3個用意する。
5.1つめの紙コップに茹でたマイタケを、もう1つには生のマイタケをそれぞれ5gずつ入れる。残りの1つには何も入れず卵液だけにする。
6.そのまま、5分間放置する。
7.卵液を入れた紙コップを湯気の立った蒸し器に入れ、強火で1分加熱した後、弱火にして更に15分くらい加熱し、茶碗蒸しを作る。
8.スプーンなどですくって固まり具合を確認する。
アドバイス
1.卵液に食塩を加えると、固まりやすくなります。実験が上手くいかない場合にはひとつまみ程度の食塩を入れて下さい。(これは、出汁を入れることでも同様の効果を得ることが出来ます)
2.湯気の立った蒸し器に入れる際にはやけどに十分注意して、必ず大人の人と一緒に行って下さい。
解説
【なぜ、固まらない茶碗蒸しができるの?】
今回行った実験では、生のマイタケを入れた茶碗蒸しだけが固まらず、同じマイタケでも茹でたマイタケを入れた茶碗蒸しは固まったと思います。ではなぜ、生のマイタケだけが固まらなかったのでしょうか?
茶碗蒸しは、卵の中のタンパク質が変性することで(タンパク質の構造が壊れることで)凝固する性質を利用した料理です。そのため、タンパク質がないと固まりません。しかし、マイタケはタンパク質分解酵素を豊富に持っているため、茶碗蒸しが固まるために必須のタンパク質を分解してしまい、茶碗蒸しが固まらなくなってしまいます。
しかし、この酵素は加熱をすると失活(酵素の活性が失われること)してしまうため、茹でたマイタケの中の酵素は、もうタンパク質を分解できない状態になっているため、茶碗蒸しが固まったのです。こうした事情から、今回の実験では、生のマイタケを卵液に入れてから5分ほど待っていただき、その間に十分にタンパク質を分解させ、後で加熱しても既にその時には変性できるほどのタンパク質が残っていない状態にしたという訳です。
マイタケ入りの茶碗蒸しを作りたいときには、一度火を通してから卵液に入れるようにしましょう。
【どうしてマイタケは分解酵素を持っているの?】
マイタケなどの担子菌類をはじめ、多くの微生物は、自然界では、落ち葉や枯れた樹木を分解してくれる「分解者」としての役割を持っています。どうしてそんなことをするかと言うと、実は分解したものを彼らの栄養源としているからなのです。
ちなみに、マイタケは子実体(キノコ)の部分に分解酵素を多く持つ菌類ですが、シイタケは分解酵素が非常に少なく、茶碗蒸しが固まるのを阻害するほどではありません。
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