実験の手順
【事前準備:1日以上かかります】
1.200mlビーカーに濃硝酸20mlと濃硫酸60mlを混合して混酸を作る。
2.脱脂綿をピンポン玉程度にちぎり、混酸の中に沈めて放置する(1時間程度)。
3.プラスチック製ピンセットを使って脱脂綿を混酸から取り出し、約1000mlの水を入れたビーカーの中
で脱脂綿を十分にすすぐ。(脱脂綿をすすぐ際は、ポリエチレン手袋などを手にはめて行いましょう)。
4.3.で十分にすすいだ脱脂綿をさらに流水で十分に水洗いし、1日以上乾燥させる。
5.1日以上乾燥させた脱脂綿をスレート板においてライターで火をつけてみましょう。マジシャンの炎が体
験できます。普通の脱脂綿にも火をつけて、燃え方を比較してみましょう。
アドバイス
1.濃硝酸と濃硫酸を混合して混酸を作る際は発熱しますので、流水などで冷却してください。
2.混酸に浸した脱脂綿を乾燥させる際は、自然乾燥させてください。ドライヤーや乾燥機などで乾燥させると
発火する恐れがあります。
3.混酸が手につかないようにするために、脱脂綿をすすぐ場合は、ポリエチレン製の手袋をはめて行いまし
ょう。
4.使用済みの混酸も水と反応すると発熱します。そのまま専門の業者に処理を依頼するか、実験室に処理設
備がある場合も、水に混酸を加えて薄めてから廃棄するようにしてください。
解説
なぜ脱脂綿は消えるの?
この一瞬にして燃える物の実体は「ニトロセルロース」です。「ニトロセルロース」は、紙や面の繊維で
ある「セルロース」を濃硝酸と濃硫酸の混酸に浸漬させることで化学変化を起こさせて作ることができま
す(一般的に「綿火薬」と言われています)。
セルロースはグルコースがたくさん繋がってできた物質ですが、そのグルコース1個あたり3個まで硝酸
エステル化することができ、たくさん硝酸エステル化されているものほど、勢いよく燃焼します。
通常の脱脂綿が燃える場合は、まわりの酸素とじわじわと燃焼反応を起こしながら燃えますが、この「ニ
トロセルロース」は自己反応性物質であり、まわりに酸素などがなくても発火点に達すると爆発的に反応
が起こるので、一瞬で燃焼反応が起こり、燃え尽きてしまいます。
皆さんが実験で作ったセルロースが勢いよく燃えない場合は、混酸に浸けておく時間をもう少し長くしてみる
などの工夫をしてみてください。
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