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-実験 NO.165-

実験B-14 <入浴剤をつくるの巻>

所要時間
60分
投稿者
日本分析化学専門学校

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準備するもの

・ 炭酸塩:炭酸水素ナトリウム(無水)、炭酸ナトリウム
・ 有機酸:フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸
・ その他:無水硫酸ナトリウム
・ 着色料:フルオレセインナトリウム(蛍光染料)
・ 成型剤:エタノール
・ 香 料:オレンジ油、レモン油
・ はかり
・ 乳鉢 1個
・ 乳棒 1個
・ 100ml容ビーカー 1個
・ 駒込ピペット(スポイト) 2本
・ 薬さじ 4本
・ ガラス棒 1本
・ ミニゼリーカップ 数個
・ 木片(かまぼこ板) 数個

【材料の入手】
・ 炭酸水素ナトリウム(500g:900円)
・ 炭酸ナトリウム(500g:1,000円)
・ フマル酸(500g:2,000円)
・ コハク酸(500g:2,400円)
・ 酒石酸(500g:3,000円)
・ クエン酸(500g:1,300円)
・ 無水硫酸ナトリウム(500g:1,000円)
・ フルオレセインナトリウム(蛍光染料、25g:2,300円)
・ エタノール(500ml:1,700円)
・ オレンジ油(25g:3,000円)
・ レモン油(25g:1,500円)

実験の手順

  1. 無水硫酸ナトリウム14.2g(0.1モル)、炭酸水素ナトリウム16.8g(0.2モル)、フマル酸11.6g(0.1モル)、フルオレセインナトリウム0.1gを乳鉢にはかり取り、乳棒で粉砕しながら均一に混ぜる。この時、なるべく細かい粉体にする。
  2. 均一にした粉体をビーカーにあけて、香料を少量加える。
  3. 成型しやすくするために、エタノールを少量加え湿り気を与え、再び均一に混合する。この時、エタノールを入れすぎないこと。
  4. ゼリーカップに強く押し詰め、さらに木片で圧縮する。このとき、底の方から丁寧に入れないと、きれいに成型できず、崩れてしまう。逆さまにしてゼリーカップを軽くたたくと塊が落ちる。
  5. 自然にエタノールが蒸発するのを待ち、硬くなれば入浴剤の完成となる。

アドバイス

  1. 操作3でエタノールを加える量の目安としては、粉末がサクサクした状態になるまで加える。
  2. 操作5で完成するまで数日かかる場合がある。
  3. 炭酸塩は、炭酸ナトリウムの方が経済的であるが、粒子が炭酸水素ナトリウムよりも大きいため成形が難しくなる。また、発泡状態も急激であると言われている。
  4. 有機酸は、コハク酸、酒石酸でもよい。経済的にはフマル酸が安い。酸性の強い有機酸は、風呂釜を傷めることがあるので使用できないので注意すること。念のため炭酸塩をやや過剰に加えると安心。
  5. 着色料は、食紅が利用可能。
  6. 香料は、入れるものによって、成分とイメージが変わるので好みで選ぶ。
  7. 成型剤として、エタノール以外の試薬では、次のようなものがある、いずれも、少量ながら水を含むため、加えた瞬間に発泡が開始し、炭酸ガスをロスしてしまう。(1),(2)は出来ばえは良いが、(3),(4)は浴槽に浮遊物が発生し、不快。市販品は、打錠機により成型し、さらに表面をコーティング処理している。(1)片栗粉の1%水溶液(とろみ)(2)CMC水溶液(カルボキシメチルセルロース)(3)希釈したPVAのり(洗濯のり)(4)ジェル整髪料

解説

●入浴剤の効能について 炭酸ガスは、血管を拡張して血行をよくするため、冷え性、夜尿症、褥創、肩こり、筋肉痛、狭心症、血管・血圧・心臓疾患に効果があります。床ずれ(褥創)への効果は看護婦さんの間で評判となり、現在ではいくつかの病院で炭酸ガスを溶かし込んだお湯をガーゼにしみこませ患部に当てる温湿布療法が行われています。 この効能は、2つのビーカーに一つはお湯、もう一つは炭酸ガス入浴剤を入れたお湯に手を入れることで、血管が拡張する現象が体感できます。炭酸ガス入浴剤入りのお湯に手を入れた方は、数分後赤くなっています。 血行促進に効果があるのは水に溶けた炭酸ガス(CO2)で、重炭酸イオン(HCO3-)ではない。 したがって風呂水は炭酸ガスが多く含まれた状態が理想なのです。風呂水が酸性の時には炭 酸ガスが多く含まれ、アルカリ性の時には重炭酸ガスが多く含まれるようになります。ただし、pHを低くすると炭酸ガスが多く含まれた状態になりますが、あまりpHが低いと浴槽や風呂釜を痛めるので市販の入浴剤のpHは6前後になるように調整してあるそうです。この実験ではちょうど中和するように薬品をはかっていますが、このままでは塩(えん)の加水分解が起こりアルカリ性になります。実際に作るときには酸を少し多めに加え、風呂水を酸性になるようにすると効果が高いと思われます。 炭酸水素ナトリウムは、ヒフを清浄(清浄作用)にし、硫酸ナトリウムは、身体を温め血行を促進させる(保温作用)と同時に保存時の安定性をよくします。夏用の入浴剤(クールタイプ)と冬用の入浴剤(普通タイプ)は成分は同じです。違うのは炭酸水素ナトリウムと硫酸ナトリウムの比率で、夏用の入浴剤は体をすっきり冷やすために炭酸水素ナトリウムを多めに入れ、冬用は温まるように硫酸ナトリウムを多めに入れてあるそうです。
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