実験の手順
- たわしでサザエの汚れを磨く。
- 石灰質の付着物(フジつぼなど)が付いている場合は、雑巾の上に置いてドライバーなどを用いて取り除く。
- 次にそのサザエをバケツに入れ、約20%程度に調製した塩素系漂白剤をサザエ全体が浸かるように入れ一日置く。 ※数週間このままでも問題ないが、長期間次の作業を行わない場合は水洗いして保管する。
- その後、水でよく洗う。
- 今度は約20%のトイレ用酸性洗浄剤に浸けることで、気体が発生するのでしばらく待つ。
- 気体の発生が穏やかになったらお箸で取り上げ、歯ブラシでサザエの表面のヌメリをこすり落とす。
- 5と6を繰り返し行うときれいな真珠色表面の貝殻の出来上がり。
アドバイス
- 安全に実験を行うために サザエを塩酸に浸けると激しく気体が発生し、塩酸が飛び散る可能性があります。 実験中は必ず保護メガネ(ゴーグルやだて眼鏡で可)とビニール手袋を着用してください。また、皮膚に付いた場合すぐに多量の水で洗ってください。
- 試薬について 次亜塩素酸ナトリウム、塩酸はそれぞれ洗濯用の塩素系漂白剤(液体)、トイレ用の洗浄剤(酸性タイプ)で代用できます。その際には裏の表示で成分と濃度を確認した上で水溶液を調整してください。また、トイレ用洗浄剤には洗剤が含まれていることがあり、この場合サザエを浸けると泡が大量に発生するため、容器は大きめのものを用意してください。
- 下準備の時間がないときは… 表面の汚れは薄い塩酸にさっと浸けて溶かすという方法もあります。ただ、サザエ自体の石灰質も溶けて表面の模様が消えたり形が変わったりすることもありますので慎重に行ってください。
- 美しく仕上げるために 貝殻の石灰質の厚さは場所によって異なるため、全体を同じ時間塩酸に浸けていると一部に石灰質が残ったり溶けすぎて穴が開くことがあります。一般的には口に近い部分が分厚く、先の尖った部分が薄いようです。全面真珠層で穴が開かないように仕上げるためには、ある程度真珠層が現れた後は、塩酸を筆につけ貝の目的とする部分に塗って選択的に溶かします。根気のいる作業ですが、とても綺麗に仕上がります。
解説
- 貝殻と塩酸の反応 貝殻の主成分は炭酸カルシウムCaCO3です。貝殻を塩酸につけると以下の反応が起こります。 CaCO3+2HCl→CaCl2+CO2+H2O 炭酸カルシウムと反応するのに必要な塩酸の絶対量は決まっているため、塩酸の量が少なかったり濃度が薄い場合は十分に真珠層が現れない場合があります。その場合はトイレ用酸性洗浄剤の調製をもう一度行ってください。
- 貝殻と真珠層 この実験では、サザエを真珠色にしましたが、アワビやトコブシも真珠色にすることが出来ます。サザエは「古腹足目リュウテンサザエ科」に属し、アワビやトコブシは「古腹足目ミミガイ科」に属し、貝殻の真珠層が発達しています。貝にも様々な科があるので、色々な貝で試して真珠層の発達を調べても面白いかも知れませんね。
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