実験の手順
- ハンカチの準備:ハンカチに模様をつけるために、四つ折りにして一部をつまみ、輪ゴムを数回巻いてきつく縛る。
- タマネギの皮を煮る(染液の調製):タマネギの皮を生ゴミネットに入れて口を縛り、片手鍋に入れタマネギの皮が浸るまで水を入れる。
- 2の準備物を火にかける。皮から色素が溶け出し濃い茶色になるまで沸騰させる(10〜20分ほど)。
- コップ2杯(約500mL)のお湯に焼きミョウバン(大さじ2杯)を加え良く溶かす。
- 【タマゴ】→そのまま染液に入れ、10~15分ほど火にかけ染める
- 【ハンカチ】→ハンカチを染液につけ、箸でよくかき混ぜながら15分ほど火にかける。その後、ハンカチを染液から出して軽く水をきり、4の焼きミョウバンをとかしたお湯に浸す。5分程浸した後、水道水でよくすすぐ。
アドバイス
- 布の素材が異なると、同じ染色方法でも趣の違う色に染まる。草木染は一般的に絹、羊毛なとか染まりやすいと言われている。木綿や人絹、ナイロンは手には入りやすい素材で、中程度の染まりやすさである。その他の化学繊維は染まりにくい。
- 染める方法として布を豆乳や卵白に10分ほど浸し、その後、すぐに十分乾燥させる下地処理法がある。植物性繊維であるセルロースの表面に吸着されたたんぱく質が色素成分を強く吸着するため、 絹と同様に濃く染まる。豆乳で処理した布は、豆汁(ごじる)下地という。
- スオウ(蘇杤)やヨモギ、クズ、紅茶もタマネギと同様にして布を染めることができる。スオウはミョウバンで赤紫色に染まり、ヨモギ、クズ、紅茶を塩化鉄媒染すると渋い色合いに染まる。茜(あかね)、紫根(しこん)などの伝統的な染め物のための植物材料もある。これらは高価であるが、漢方薬店、染色材料店で入手できる。
解説
【草木染のしくみと色素を固着させる方法】
ヒトは古代から身のまわりのいろいろな植物や動物の色素で衣服や紙、革などを染めてきました。世界中で染色に利用されてきた植物は3000 種以上もあるといわれています。これらの草木染のほとんど全てがミョウバンなどの媒染剤(注1)といわれるそれ自身はほとんど色の付いていない薬品と組み合わせて染められています。
多くの草木染は、化学の目で見ると水溶性の染料が媒染剤の金属イオンと反応して色の濃い不溶性の顔料を繊維上につくる反応です。今回の実験で用いたタマネギの外皮に含まれている黄色い色素は、ケルセチン(C15H10O7)というフラボノイドの一種で、ソバや柑橘類の外皮にも含まれ、染料としても用いられてきました。一般的な植物色素はタンパク質である絹には良く染まります。これは色素がポリフェノールでアミド結合の部分に結合しやすいためです。一方、綿布はセルロースであるため染まりにくい性質があります。ちなみに今回使われた色素であるケルセチンは綿布にも良く染まるので、もっとも易しい染色のひとつです。
(注1)媒染剤…植物色素の多くはポリフェノールであり、鉄や銅、アルミニウム等のイオンにより、染色の効果が上がることが多くあります。また、色素に金属イオンが配位すると、色が濃くなったり、酸や塩基に対し強くなったりして繊維に色が固着しやすくなります。これら金属イオンを含む物質で染色を媒介する役割という意味から媒染剤と呼ばれています。
■参考
・らくらく化学実験:Fun Chemistry Experiment ホームページ
http://rakuchem.com/lc_tamanegizome.html
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