実験の手順
- 亜鉛粉末約5gをカセロールに入れる。
- 亜鉛粉末が浸る程度に1に水酸化ナトリウム溶液を加え、加熱する。
- 水酸化ナトリウムが沸騰したら、銅貨をゆっくりと入れる。
- 銅貨の表面が銀色になったらピンセットで取り出す。
- 取り出した銅貨(銀色)を流水できれいに洗い、キムワイプで拭く。(銀貨の出来上がり)
- 5の銀貨をピンセットで挟み、ガスバーナーで軽くあぶる。
- 表面が少し変色したら、ビーカーに入れた水中で急冷し、キムワイプで拭く。(金貨の出来上がり)
アドバイス
- 使用する金貨はなるべくきれいなものを用意する。なければエタノールなどで磨いておくときれいに仕上がる。
- 操作4で完全に銀色になっていないときは再度同じ操作を繰り返す。
- 操作6.7の際、ピンセットは銅貨の側面をつかむようにする。普通につかむと焼きむらができ、汚くなる。また、加熱しすぎると銅貨に戻ってしまうので黄色に変わり始めたらすぐに急冷する。 金色になっていなくても、少し色が変わったところで急冷する。
- 水酸化ナトリウムは、潮解性が大きいためはかりとり時、直接手で触れると手の水分で強アルカリ性溶液になるため、必ず薬さじを使用すること。また、もし手に付いたときは、ぬるぬる感が取れるまで大量の水で洗い流し、顔には手を触れないこと。目に入ると失明の恐れがある。必ず保護メガネ着用すること。特に操作2では水酸化ナトリウム溶液が煮沸により、飛び散る恐れがあるので、要注意!!
- 操作4で、銀色になった銅貨を取り出すとき、亜鉛に紛れてなかなか見つからないときがある。火にかけたまま探すと危険なので、カセロールを一度火から下ろして探すこと。
- 濃アルカリ水溶液中で、亜鉛は高温になると水素を発生する。換気に注意すること。
解説
銅貨から銀貨への反応は銅貨が亜鉛メッキされる反応です。亜鉛は水酸化ナトリウムと反応して亜鉛酸ナトリウムNa2ZnO2となります。この生成物は下記に示したイオン化傾向に従い、銅貨によって還元され金属亜鉛となり、見かけ上銅貨が銀貨に変わります。また、銀貨から金貨への反応は、合金である黄銅の生成反応です。この反応によって銀色の銅貨は見かけ上金貨に変わります。黄銅とは銅60~82%、亜鉛18~40%の合金で身近なところでは、5円玉に用いられています。
●イオン化傾向(左に行くほどイオンになり易い)
- コメント(5件)
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日本分析化学専門学校 管理者
(2013/07/16)
@ゆんさん
ご質問ありがとうございます。
また、返信が遅くなり申し訳ありません。
さて、実験の化学反応式ですが、亜鉛が水酸化ナトリウムにとけている状態のみとなりますが、以下の通りです。
Zn+2NaOH→
Na<sub>2</sub>ZnO<sub>2</sub>+H<sub>2</sub>日本分析化学専門学校 管理者
(2010/08/19)
@ヨキさん 実験をされたのでしょうか?
亜鉛めっきを取りたいとおっしゃる目的は分かりませんが、一般的には強酸で溶解するのがいいと思います。ただし、めっきをはがした後の表面はどのようになるかは分かりませんので、美しいもとの銅貨を取り戻したいということであれば、少し問題があるかもしれません。
いずれにしても、もしもめっきを剥がしたとしても、その銅貨をお使いになるのは差し控えてください。
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