実験の手順
- 準備 A.デンプン液の調製 片栗粉ひとつまみをマグカップに入れ、ポットのお湯を注ぎ、十分に溶かして作る。 B.納豆液の調製 コップに納豆適量を入れ、水を加えて割り箸でかき混ぜておく。 C.デンプン紙の作成 (1)デンプン液の入ったポリ袋に適当な大きさに切った画用紙を入れ、デンプン液をしみ込ませる。 (2)過剰量しみ込んだデンプン液を新しい画用紙で吸い取り、よく乾かして、デンプン紙とする。
- 実験その1 納豆液を綿棒につけてデンプン紙の上に絵や文字を書いた後、霧吹きに入れた薄めたうがい薬を吹きかけて、デンプン紙が全体が青紫色に染まると・・・先ほど書いた白い文字が浮き上がってくる。
- 実験その2 霧吹きに入れた薄めたうがい薬をデンプン紙に吹きかけて、デンプン紙を青紫色に染めた後、納豆液を浸けた綿棒で文字や絵を描くと、白く浮かび上がる様子が分かる。
アドバイス
デンプン紙を作成する際に、デンプン液を染み込ませすぎると、結果が見えにくいので、染み込ませすぎたときは必ず画用紙でデンプン液を吸い取り、吸い取った画用紙も実験に使う。
解説
- ヨウ素デンプン反応 デンプンは、ブドウ糖のことがたくさんつながってできた「アミロース」と「アミロペクチン」からなっています。 アミロースにおいてはブドウ糖はブドウ糖6分子で1回転したらせん構造を取ります。このらせん状の輪にヨウ素が近付くと捕らえられ、その結果青紫色のヨウ素デンプン反応を起こし、ヨウ素デンプン反応は青紫色となります。 一方、アミロペクチンは枝分かれの結合をもつために、らせん状の構造を取ることができません。 したがって、ヨウ素を捕らえることができず、青紫色のヨウ素デンプン反応を起こすことができないということになるのです。 このアミロースとアミロペクチンの含まれる割合は、植物によって異なるため、片栗粉以外のデンプンで試してみるのも楽しいと思います。
- 納豆中の酵素について 今回の実験で色を消すのに活躍した酵素は、「アミラーゼ」でした。アミラーゼが、片栗粉の中のデンプン(なかでもアミロース)を分解することによって、アミロースがブチブチと切られてしまい、ヨウ素を捕らえるらせん状構造が無くなってしまいます。したがって、ヨウ素デンプン反応をしなくなり、紫色が付かなかったり、紫色が消えたりしたのです。
- コメント(2件)
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日本分析化学専門学校 管理者
(2010/08/19)
@神さん、ありがとうございます。
確かに、あっという間にデンプンが分解される酵素のパワーが体験できると思います。
もしもっとそのパワーを体感したい方は、市販の胃腸薬で「タカジアスターゼ」が含まれているもの(たとえば新三共胃腸薬)を水に溶いて試してみてください。すんごいパワーが体感できますよ!!
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