実験の手順
- ジュースとエタノールはあらかじめ良く冷やしておく。
- ジュースをきれいに洗ったコップに30mlほど入れる。
- ジュースを入れたコップにエタノールを同量入れる。 ※このとき、コップの壁面をエタノールを伝わらせるような感じで入れ、ジュースとエタノールが2層に分かれるようにする。 また、入れた後も2層が混ざらないように、絶対にかき混ぜないこと。
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しばらくすると、ジュースの層とエタノールの層の界面から白いもやもやっとしたDNAが観察できる。
エタノールを入れてすぐに白いもやもやしたものが見えます。
だんだんとDNAが析出してきました。
DNAがエタノール層のほうへ浮き上がっていく様子が分かります。
浮いてきたDNAが集まりました。
浮き上がったDNAをじっくり見ると気泡をたくさん含んでいるのが分かります。 - 他のジュースでも試してみましょう! トマトケチャップやジャムでも観察することができます。ただし、粘りけが強い場合は、あらかじめ少量の水で薄めてから実験に用いるとDNAが出てきやすくなります。
アドバイス
- DNAは極めてもろいので、エタノールを加える前、あるいは加えた物をかき混ぜてしまうと、細かく切れてしまいます。大切に優しく取り扱ってください。
- ジュースはできるだけ新鮮なものを使って下さい。開封して時間がたったものは、DNAが分解されてしまっている可能性があり、うまくいきません。
解説
- DNAはどこにある? DNAにはいくつもの遺伝子が記録されて、生きものの記録を細胞から細胞へ、親から子供へと伝えています。野菜などの真核生物の場合、DNAは細胞の真ん中にある核というところに存在しているので、DNAを取りだそうと思うと、まず細胞や核を壊さなければなりません。しかし、今回使用したようなジュースの場合、果物を絞った段階ですでに細胞は壊れ、ジュースの中にDNAが溶けているので、細胞を壊さなくてもDNAを取り出すことが出来たのです。
- エタノールを入れるとどうしてDNAが出てくるの? ジュースの中に溶けているDNAを肉眼で見るためには、溶けにくい液体の中で析出させる必要があります。DNAは水には溶けやすいですが、エタノールには溶けにくいという性質を持っています。実は今回はこの性質を利用しています。 静かにエタノールを注ぐと、混ざらずにエタノール層と水層の2層になります。そこで、水層にとけているDNAがエタノールに触れると、DNAは溶けていられずに析出します。さらにDNAは比重が軽いため、上部に浮いてくるので、DNAだけを集めることができるのです。
動画
- コメント(5件)
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ゆき
(2014/08/20)
コメント失礼します。
グレープフルーツのジュースで実験してみると、
動画や画像のように、きれいにDNAが取り出せました!
それから、りんごジュースでも実験してみたのですが、
グレープフルーツの時の方がうまくいきました。
ここで質問なのですが、なぜ柑橘類の方がおすすめなのでしょうか??
ご回答よろしくお願いします(_ _)さぼさん
(2014/07/30)
すいません、教えてください。
エタノールの種類がわからず、消毒用エタノールIPというのを
購入してしまいました。
購入後、サイトをよく見ていたら無水エタノールと書いてあり・・・、よく読まなかった私が悪いのですが、無水エタノールでなくてはできないのでしょうか?
教えてください。お願いします。日本分析化学専門学校 管理者
(2013/08/14)
「なぜ白いもやもやっとしたものがDNAだとわかるのか」
DNAは水には溶けても、エタノールに溶けにくい性質を持っています。したがって、エタノールと接触した際に浮かび上がってきたものがDNAを含むものであると想定できます。しかし、実はタンパク質も同じ性質を持っているので、白いもやっとしたもののすべてがDNAという訳ではなく、タンパク質も混在している状態と言えます。そこで、DNAの2重らせん構造と出会うと蛍光を発する「アクリジンオレンジ」という試薬を振りかける事によって、DNAが含まれていることが確認できます。ただし、残念ながらこの試薬はご家庭で取り扱うことができませんので、実際にその現象を見てみたい方は、動画タブをクリックしてご確認下さい。
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