実験の手順
A.準備
- レターカードに描くインクを作る 指示薬をそれぞれエタノールに溶解する。おおよその目安は、エタノール100mlに指示薬約1g。指示薬によっては、溶け切らないものもあるが、その場合は上澄みの飽和溶液を用いる。
- 変色液の調製 アルカリ変色液:適当量の無水炭酸ナトリウムをそれぞれ水に溶解する。酸 変 色 液:適当量のシュウ酸をそれぞれ水に溶解する。各変色液には、少量の中性洗剤を加える。 B.本操作
- レターカードを描く画用紙に、綿棒で字や絵を描く。用いる指示薬は、適当に混合して、新しい色を創造しても良い。レターカードは変色液で発色したり変色したりすることを想定して描いておく。描いたら、溶媒のエタノールを蒸発させておく。
- レターカードのマジック 乾いたレターカードをタオルの上に置き、用意したアルカリ変色液が染み込んだローラーをかける。何もないところに字や絵が浮き出たり、描いてある字や絵の色が突然変色する化学マジックが楽しめる。一度変色したレターカードを乾かし、今度は酸変色液を染み込ませたローラーをかけると、再び元の状態に戻る。
アドバイス
- 準備2.で変色液の調製をする際に、中性洗剤を加えておくのは、ローラーに転写した指示薬を落とすためと、画用紙に素早くむらなく炭酸ナトリウム水溶液を染み込ませるためである。
- 本操作1.でレターカードに描く際、無色から彩色に変化する指示薬の場合、溶媒のエタノールが蒸発すると何を描いたのかが分からなくなるので、あらかじめ鉛筆で下絵を描いておき、塗り絵の要領で指示薬を選定しながら塗るとよい。
- 本操作1.でレターカードに描いた後、早く乾かしたい場合は、ドライヤーあるいは電熱器を用いると良い。
- 本操作2.でマジックをする際、筆や刷毛で炭酸ナトリウム水溶液を塗って変色させようとすると、インクが塗る方向ににじむ恐れがあるので、炭酸ナトリウム水溶液を染み込ませたローラーをかけるのがもっとも良い。用いるローラーはスポンジだと指示薬が転写されるので、布やマット状のローラーを用いる。
- 塩基性溶液は、比較的安全な炭酸ナトリウムを使用するのがよいと思われる。
- 変色液に炭酸ナトリウム水溶液を用いるため、インクとして用いることの出来る指示薬は、pH5~9位の間の変色域を示す指示薬となる。
- 指示薬の溶媒に水を用いると、炭酸ナトリウム水溶液をローラーで塗布したときに、色にじみを生じるため、溶媒はすべてエタノールとした。したがって、エタノールに溶解する指示薬を選ぶ必要がある。
- 指示薬の溶解する濃度は、指示薬として処方されている濃度より多少濃いものの方が、カードの色変化が鮮やかで効果が大きい。
解説
本実験で使用可能(変色が見られる)指示薬の色相変化をまとめると、以下のようになります。
ただし、それぞれの色相は微妙に異なるので、色の表現が同じでも、同じ色になるとは限りません。
また、以下の指示薬は、変色域がマジックインクとしてはふさわしくありませんが、逆に変色しないことで、中和滴定などで指示薬を使う際には変色域に注意して指示薬を選択する必要があることが理解できると思います。
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