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-実験 NO.222-

実験B-43 <グングン水を吸う謎の物体を作ろう!の巻>

所要時間
120分
投稿者
日本分析化学専門学校

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準備するもの

【使用器具・薬品】
○器具
 ・三角フラスコ 20mL 2個、100mL 1個   
 ・マグネティックスターラー(約3cm)
 ・メスシリンダー 10mL 1本、50mL 1本
 ・駒込ピペット 1mL 3本
 ・ミクロスパーテル 1本
 ・試験管    1本
 ・ドライヤー  1つ
 ・ろ紙     2枚
 ・水切り袋

○試薬等(実験手順内でアルファベットを使用)
 A:アクリル酸 (2g)
 B:N,N’-メチレンビスアクリルアミド (0.1g)
 C:過硫酸アンモニウム (0.1g)
 D:アラセルC (0.1g)
 E:N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン (0.4mL)
 F:水酸化ナトリウム (1.1g)
 G:n-ヘキサン(10mL)
 H:メチレンブルー水溶液 1~2滴 (メチレンブルー0.01gを100mLの水に溶解させたもの)
 I:塩化メチレン(0.3mL)
 J:アセトン
 K:氷水
 L:水(水道水でも可)(5mL)

【材料の入手方法】
 〈試薬会社から購入〉
 ・アクリル酸 (25mL:850円)
 ・N,N'-メチレンビスアクリルアミド (25g:2,000円) 
 ・過硫酸アンモニウム (25g:520円)
 ・アラセルC (25g:900円)
 ・ N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン (25mL:900円)
 ・水酸化ナトリウム (500g:1,050円)
 ・メチレンブルー (25g:3,600円)
 ・n-ヘキサン (500mL:11,500円)
 ・塩化メチレン (3L:4,050円)
 ・アセトン (500mL:700円)

実験の手順

  1. 三角フラスコ(20mL)に D をとり、 I を加える。塩化メチレンが揮発しないように栓をすること。
  2. 三角フラスコ(100mL)に F をとり、 L を加えます。これを氷冷しながら A をゆっくりと加えます。
  3. ②の溶液に B を入れ、マグネティックスターラーで混ぜます。
  4. ③の溶液に C を加え、溶解したら H を加え、青く着色させます。
  5. ④の溶液に G を加えます。 上層がn-ヘキサン、下層は青い水の層になります。
    この時点ではすぐに分離します。
  6. ⑤の溶液に I (30mL)を加えます。
  7. ⑥の溶液に1.の溶液を加えます。かき混ぜると水滴が細かくなり乳化しているのが観察できます。
    かき混ぜる速度は水滴の直径が1mm程度になるように調節します。
  8. ⑦の溶液をかき混ぜながら、 E を少しずつ加えると重合反応が開始されます。
    数十秒で分散した水滴が白い粒に変わります。やがてフラスコの壁に付着し、透明のゲル状物質が出来ます。
    ※重合熱により溶媒の塩化メチレンが沸騰することもあるので、フラスコには栓をしないで下さい。
  9. 青くなくなるか、または10分経ったらかき混ぜを止め、有機溶媒を捨てます。
    撹拌子を取り出し、フラスコの壁に付着した樹脂をアセトン(10mL)で2回洗って下さい。
    ミクロスパーテルでかき出して、ろ紙に挟み込み、換気の良いところ、
    もしくはドラフトの中でろ紙ごとドライヤーで乾燥すると約6gの樹脂が得られます。
  10. 作製した樹脂を乾燥した試験管に押し込み、その高さを測りましょう。
    これにイオン交換水または水道水を加えると膨潤し始めるので、
    膨潤した時の高さを測り、何倍の高さになったのかを計算しましょう。

アドバイス

  1. この反応は有機層に水層を分散させる逆相懸濁重合です。
  2. アラセルCは分散した水層を安定化させるための逆相用界面活性剤として入れています。
    市販の洗剤や石鹸では親水性が高いため、代用することが出来ません。
  3. 方法1の液体と方法6の液体は作り置きすることが可能で、冷暗所に保存しておけば2~3日は保ちます。
  4. 過硫酸アンモニウムは過酸化物なので、金属の薬さじで計量したり、衝撃を与えないようにして下さい。
  5. メチレンビスアクリルアミドは架橋剤として入れています。
    この架橋剤がないと出来たポリマーは吸水性ではなく水溶性になります。
  6. 過硫酸アンモニウムは還元剤であるテトラメチルエチレンジアミンと反応してラジカルを生成し、重合を開始させる役割で入れます。
  7. メチレンブルーは水滴の大きさや形状を見やすくするために入れています。
  8. 方法7のかき混ぜ速度が遅すぎると樹脂は大きな固まりになってしまい、方法10の観察で水を吸い上げる速度が遅くなります。
  9. メチレンブルーの青色が消えるのは重合過程でメチレンブルーが還元体になってしまうためです。
  10. 実験後の膨潤した樹脂は流しに捨てないようにして下さい。
    生ゴミ用の水切りネットを用意して、まとめて破棄するようにして下さい。

解説

  1. 重合反応とは?
    重合とは単量体(モノマー)から重合体(ポリマー)を合成することを目的にした、
    一群の化学反応のことです。
    また、重合反応はその元となる反応の反応機構や化学反応種により
    細分化され区別されます。
    連鎖重合、逐次重合、リビング重合、重縮合、重付加、付加縮合、イオン重合、
    ラジカル重合などがあります。
  2. 吸水性ポリマーとは?
    今回作ったものは、ポリアクリル酸ナトリウムという樹脂で速い速度で
    液体を吸う性質を持っており、おむつなどに入っています。
    保水性があるため、保水剤や何度も利用できる保冷剤としても使用されています。
  3. 身近な樹脂は?
    我々の身近な樹脂の代表は、飲料ボトルに使われているポリエチレンテレフタレートや
    繊維などに使われるナイロン、ポリ袋などに使われているポリエチレン、それ以外にも
    CDやDVDの透明なケースに使われているポリスチレンというものあります。
    我々の身の回りにある樹脂を探してみましょう!
コメント(1件)

 もちづき

(2023/09/29)

手順6に⑨を30mL加えるとありますが、試薬欄の⑨の塩化メチレンは1の液に加えるための0.3mlしか記載がありません。ほかの試薬との間違いでしょうか。それとももう30mL 用意が必要でしょうか。

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