2025.01.20
本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。
専門学校と言えば、高校卒業後すぐに進学する学校と考えて居られる方も多いと思いますが、この化学分析学科には幅広い年齢層の学生が通学しています。この学科は、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をしています。『高校を卒業していること』が入学要件ですので、高校を卒業してすぐに入学してきた学生もおり、今年度は各学年に1名ずついます。入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している方や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。
平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。
毎週土曜日・日曜日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業できるようにするため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、遠方から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。
今日の1年生は、応用分析化学実験Ⅰの日でした。応用分析化学実験では、これまでに学んだ実験技術を応用して実際の食品や化粧品、河川の水の分析を行います。今日は、学校の目の前を流れる大川の水質調査を行いました。
調べた項目は、水に溶けている酸素の量、溶存酸素(dissolved oxygen:略称DO)です。ちょうど1ヶ月前ぐらいにCODという水質検査を実施しましたが、それと同じぐらい重要な水質検査方法です。
環境分析の実験では、たいてい有害物の量を測定するので、結果の数値が大きくなると汚染されていることを表すことが多いのですが、溶存酸素は数値が大きい方が水質がきれいなことを表しています。水中の酸素が少なければ魚は住みにくいですし、酸素が豊富であれば魚も住みやすいと考えれば理解しやすいと思います。
ここ数日寒い日が続いていましたが、幸い今日は天候もよく、外も暖かく、学校を出てすぐ目の前にある大川での採水もそこまで寒くありませんでした。
サンプリングが終わればすぐに実験できるように使用する試薬を予め調製しておきます。そしていざサンプリングです。
学校前の公園でM先生が使用するバンドーン採水器の説明をしています。
採水器を川に下ろします。バケツで採水するとどうしても空気と水が激しく触れあい、水中の酸素が増えてしまいます。なので、水中の酸素を増やすことのない特別な採水器を使います。
採水が終わった後も、サンプルを入れる瓶に酸素が入らないようにチューブでそっと注入します。
このあとは実験室に戻って滴定で溶存酸素量を求めます。仕組みとしては、これまでに学んだ酸化還元滴定を使います。学生達は、サンプリングは大変だったけど、滴定はもう何度もやってるから時間もかからずスムーズにできた、と言っていました。採水器には5Lぐらいの水が入るので、引き上げるときは大変でしたもんね。
学生達もほぼ1年実験を学び、かなり実験にも慣れてきたようです。応用分析化学実験では、これまでに学んだ定量分析実験や機器分析化学実験などを応用した実験です。スムーズにできたと言うことはこれまでの経験が学生のみなさんに積み重ねられていると言うことですね。
1年生での実験はもう残り少ないですが、2年生になってからも実験がんばりましょうね。
by ドラいちろう