せんせのブログ

「菌」の観察その2

2005.07.19

先日、せんぱい先生が私の実験をレポートしてくれましたが、本日もバイオ化学実験で、観察をしました。今日は「麹菌」にスポットを当てたいと思います。 
その時の日記のコメントにも書いたように、「麹菌」は胃腸薬のもととなったり、様々な発酵食品に欠かせない微生物です。
日本酒は、第1段階として米のデンプンをまず糖に変え(糖化)、その後に第2段階として糖を「酵母」によってアルコールに変える(アルコール発酵)のですが、その第1段階の糖化で、麹菌のもっている酵素が活躍するのです。この酵素は、「アミラーゼ」といって私たちの体の中にもある酵素です。どこにあるかというと、口の中の唾液中に存在します。したがって、大昔は「噛み酒」といって、麹菌の代わりに人間がご飯を口で噛んで糖化をし、その後酵母による発酵を行って出来たお酒もありました。(ちょっと引いてしまうような話ですが・・・。)
ビールやワインを作るときにも酵母は欠かせませんが、実はこの麹菌は使用しません。
ビールは麹菌の代わりに、同じアミラーゼを持つ「麦芽」を糖化に使いますし、ワインはもともと発酵のスタートがデンプンではなく、ブドウに含まれている糖(ブドウ糖)からスタートしているので、そもそも糖化が必要ないため、麹菌は必要ありません。
このように、一口に微生物といっても、本当にいろんなお話があるのです。実物を見たことのない人は一度来校され、学生と一緒に顕微鏡を覗いてみませんか?
2005-07-19.jpg

by すくろーす