2009.06.02
さて、今日も本校で行われた実験を紹介したいと思います。今日は、生命バイオ分析学科の食品分析化学実験の様子を覗いてみます。では、さっそくお邪魔しまーす。
おぉ!!今日も学生が実験室内で集中して、いろいろなガラス器具を操りながら分析を行っているようです。今日の実験の内容を聞いてみると、「今日は牛乳の中のカルシウムの量を測ります」と答えてくれました。
確かに、牛乳の中にはカルシウムが含まれていると言います。 ・・・って?あれ?肝心の牛乳が実験台の上には見当たらないですねー?何ででしょうか?
実は、牛乳の中のカルシウムを測ると言っても、牛乳をそのまま直接分析するわけではないんです。牛乳の中のカルシウムは、原子吸光度計という装置を使って測定するのですが、牛乳に含まれるカルシウムをそのままの状態で分析することはできないんですね。
そこで、牛乳中のカルシウムを測れる状態にしてあげるように、あらかじめ準備をする必要があります。この準備のことを化学の世界では「前処理」といいます。先ほどの写真3枚は、実は、測定のための前処理の最中の写真になります。その3枚目の写真が、牛乳中のカルシウムを測定するための前処理終了後の写真になります。
どうでしょうか?牛乳みたいに白くにごっている状態ではないですね。ですが、牛乳中のカルシウムは、このビーカーの中の溶液に含まれていることになります。
この前処理を行うことで、やっとカルシウムが測れる状態になり、次の写真に示すような分析装置(原子吸光度計)を利用して、測定を行っていきます。
実験や測定を行うためには、先ほど述べた前処理が必要となってきますが、前処理がうまくいくか、それともうまくいかないかで、実験や測定がうまくいくか、それともいかないか、が決まってきます。分析化学の世界では、「前処理8割、測定2割」というような言葉があるのですが、この言葉でも分かるとおり、前処理は重要な工程のひとつなんですね。
分析化学者は、分析装置が使えることが重要でありますが、分析を行うための前処理の技術についてもしっかりと身に付ける必要があり、実験を通して学生たちはその大切さを学んでいます!!
by ボヤッキー