2010.12.03
・ニンジンを「分析」して産地がわかる?
今日の実験棟では、2年生の資源分析化学科の卒業研究が行われていました。
以前、本校行事の「化学実務駅伝」でも紹介したT君が、テキパキと卒業研究に取り組んでいる姿を発見(「化学実務駅伝」の様子はこちらから→ここ)。彼も加わっているこの班は一体何を「分析」しているのか覗いてみると...、刻みニンジン?もちろん料理に使われているわけではありません。
この班は、ニンジンに含まれている微量の「金属イオン」を分析していました。ニンジンに金属イオンなんて含まれているの?と思われるかもしれませんが、私たちがいつも飲料水として飲むミネラルウォーターの「ミネラル」は金属イオンのことを指しています。すべての食べ物には微量の金属イオンが含まれているのです。
このニンジンに含まれている「金属イオン」の種類と量は、産地によって大きく異なると考えられています。そのため、ニンジンに含まれている微量の「金属イオン」を分析することで、そのニンジンの産地がわかる、という仕組みです。近年産地偽装の問題が言われていますが、この方法が開発されれば、「指紋」を判定するように、そういった問題も解決できるでしょう。
ニンジンを高温で処理し、金属以外の成分を全部燃やしてしまい、これを水に溶かして測定します。
左の透明な液体がニンジンを処理した溶液です。ニンジンの色は全く無くなってしまっています。右側の溶液は、このニンジンの産地の「土壌」を処理したものです。(下の写真がその土壌です)
ニンジンに含まれる金属の割合は、その産地の土壌が影響するのでは?と新たに分析する事となったようです。仮説を立てて、そして計画し、実行に移す、研究の醍醐味ですね。先ほど紹介したT君の内定先は、様々な材料や物質の分析を行う会社です(「化学実務駅伝」のブログを参照して下さい。その時の様子はこちらから→ここ)。今培っている「分析」の技術、そして研究して得られた経験は、卒業後の仕事にも直結していくんですね。
・将来に向かって、みんな奮闘中!
所変わって、本校の放課後の資料室を覗いてみました。たくさんの学生が、みな思い思いに勉強に取り組んでいました。
2年生は来週に行われる卒業研究の中間発表会に向けての資料作りです。卒業研究は、実験室の中だけではないのです。みな真剣でしたが、そこは放課後。あーでもない、こーでもないとみんなで楽しく話し合いながら進めているのが印象的でした。
1年生は授業やレポートの復習のほかに、そろそろ始る就職活動に向けての準備をしているようでした。「この会社でやっているようなことがしたくてこの学校に入ったんですよ」といってある会社のホームページを見せてくれる学生もいました。まさに夢に向かってまい進中、といった感じで、本当に楽しそうでした。
最初に紹介した卒業研究もそうですが、本校の授業、実験のカリキュラムはまさにみんなの「夢」に直結していることが実感できた一日でした
byあおひげ