2011.07.14
昨年度の卒業研究を皮切りに始まった本校の創立30周年特別研究「大阪のにおいプロジェクト」。
一体どんなプロジェクトだったのか、再度ここで触れたいと思います。
みなさんは、大阪のにおいと言われてどんなにおいを思い浮かべられますか?
たとえばたこ焼きやお好み焼きなどの「粉もんのにおい」、鶴橋周辺の「焼肉のにおい」などなど、大阪特有の地域性を示したにおいが頭に浮かんでくると思います。
そうしたにおいが大阪のどの辺に存在しているのか?ということは、人間の感覚に非常に近い状態で分析できる機器を用いて大阪のいろんな場所を測定し、先ほど紹介した大阪を代表するにおいへの類似度を示すことによって表現することができます。
そして最終的には、「この辺は粉もんのにおいが圧倒的だけど、そこし焼肉のにおいもする場所」というように、地図上で表現した「大阪のにおいマップ」の作成が今回のプロジェクトのねらいです。そうすれば、単なる平面的な大阪の地図が、「におい」プラスすることで、非常に臨場感のある立体的な地図になるでしょ♪ 分析化学でこんなに楽しいことができるなんて、ワクワクしませんか? しかも、そうして作られた「大阪のにおいマップ」が、やがては観光ガイドブックなんかに採用され、そして大阪から全国へとこのプロジェクトが広がったら、サイコーに楽しいじゃあないですかw
装置の生みの親であります「島津製作所」の技術者の方々も、「大変面白い試み。今までそのような研究をされているところはないので、ぜひ成功して欲しい!」というお言葉と、折りに触れてのアドバイスもいただきながら、昨年度から学生たちと「あーでもないこーでもない」と、ディスカッションしながら進めています。
本来後期からの卒業研究ではありますが、2年目を迎える今年は、いち早く学生たちが研究を進めることが出来るように、今のうちから実験を始めることにしました。そこで、今日は「におい識別装置FF-2A」の操作方法を卒業研究班の学生に伝授しました。
この装置が普通の分析装置と違って特徴的なところは、測定したサンプルをある基準と「比べる」ことによってそのにおいを表現するということです。例えば化学の世界で何かを「測定する」という時には、「あるひとつの物質」について「○○ppm」とか「○◯g」という物質の濃度や重さを求めるのが一般的なのですが、この装置は、様々な物質が混じり合った「混合物としてのにおい」を、より人間の感覚に近い形で測定するので、簡単に言うと、そのにおいが「どんなにおいでどれくらい強いか」ということを分析する目的で作られました。
つまり、一体そのにおいが「どんな成分なのか?」ということは一切関係なく、「どんなにおいなのか?」ということに着目した装置なのです。したがって、「どんなにおい」の「どんな」にあたる物質を基準臭といい、それをはじめに装置に認識させる必要があるのです。
今日はその基準臭として指定されている9つのガスを用いた装置の校正方法について伝授しました。下の写真がその基準ガスの一部です。
希釈が必要ないガスはそのままサンプルバッグににおいを詰めて・・・・・・
希釈の必要なガスは、希釈をして・・・・・・・・
におい識別装置で測定します。
学生たちは初めて触れる装置や器具に興味津々で、ひとつひとつの操作を楽しみながら、かつ真剣にメモに取りつつ徐々に自分のモノにしていっている様子でした。
まだまだ研究が始まったばかりですが、皆さんにご紹介できるような「においマップ」の作成に彼らがこれから奮闘します。温かい目で見守ってやってください。
byすくろーす