せんせのブログ

分析化学者への道は一歩ずつ!

2012.09.02

週末(土曜日・日曜日)だけの通学で、化学分析の知識・技術が修得でき、平日の学科と同様に
2年間で卒業できる(卒業と同時に取得可能な国家資格も全員が取得できる)化学分析コース。
このコースは定員20名の少人数制で、技術職への転職や再就職、現職におけるスキルアップや、
国家資格の取得、事業の拡大などを目的とした社会人や大学生が、全国各地から通学しています。


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今日は、1年生・2年生ともに、午後からは実験です。1年生は基礎的な分析スキルや、器具の
取り扱い方などをマスターする基礎化学実験が終了し、定量分析実験・定性分析実験がスタート
しています。今日の実験は、試料の中に、分析目的の成分がどれだけ含まれているかを分析する
定量分析実験です。その中でも目的成分を化学反応で沈殿の形に変えて重さを量り、最終的には
計算で目的成分の量や濃度を特定する重量分析を行いました。今日の目的成分はアルミニウムです。


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アルミニウムが含まれている試料のpH(水素イオン濃度指数)を調整し、オキシンという薬品を
加えて沈殿物(アルミニウムのオキシン錯体)をつくります。しかしながら、この沈殿物の重さを
どうやって測定するのでしょうか?この沈殿物を流し込む容器(ガラス濾過器)がありますが、
この容器の重さをあらかじめ測定しておく必要があります。洗浄して乾燥した後に熱を取り除き、
天秤で重さを測定しますが、この操作を繰り返し、2回連続で±0.0003gの範囲内にならないと
その容器の重さを決定することができません。もちろん、アルミニウムの沈殿物を流し込んだ後も
同様に2回連続で±0.0003gの範囲内となることが絶対条件です。一見、単純な分析操作のようで
その中にはたくさんのテクニックや注意事項が含まれているのです。


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この実験は、来週の日曜日に継続して行いますが、1年生のS君(左の写真)に感想を聞くと、
『今週は期末試験もあったので少々疲れましたが、実験で得られたこともたくさんありました。
会社で使い捨てにしていた乾燥剤が再生利用できることや、重量分析で使用する器具類の
取り扱い方など。とても勉強になった一日でした。来週も頑張ります!』と話していました。

S君は新潟の企業で勤務していますが、その仕事で化学の知識・技術が必要となり、毎週新潟から
週末だけ化学分析コースに通学しています。今日の実験の中でも、会社で捨てていたものを再利用
できることも学べたようで、職場でその知識を活用したいと喜んでいました。分析技術者への道は
このような実験を着実に経験してこそ開かれます。まだ1年生の折り返し地点ですが、一つひとつ
身に付けていきましょう!

by あずみ