2013.01.20
週末(土曜日・日曜日)だけの通学で、化学分析の知識・技術が修得でき、平日の学科と同様に
2年間で卒業できる(卒業と同時に取得可能な国家資格も全員が取得できる)化学分析コース。
このコースは定員20名の少人数制で、技術職への転職や再就職、現職におけるスキルアップや、
国家資格の取得、事業の拡大等を目的とした社会人や大学生が、全国各地から通学しています。
今日、1年生は午後から「定量分析実験」を行いました。1年間のまとめの時期と
なっていますので、今日の実験は実際の調味料に含まれる成分の濃度を調べました。
その調味料は「醤油」、分析成分は「塩分」です。
醤油は、JAS(日本農林規格)では、地域や酒造の歴史などによって、濃口醤油・
薄口醤油・たまり醤油・再仕込み醤油・白醤油の5種類に分類されています。
一般的な料理には、関西では主に薄口醤油、関東では濃口醤油が使われていると
いわれています。その理由の一つとして、関東では塩分の量を色で見分ける傾向が
あり、関西では色が付かないものを好む特徴が挙げられています。
色の薄い薄口醤油は、塩分が少なそうに見えますが、実際に使用されている食塩は
濃口の1割多いと言われています。今日の実験は、実際に2種類の醤油に含まれる
塩分を測定し、その比較を行いました。
測定方法は、沈殿滴定です。「中和滴定」という言葉より、馴染みはありませんが、
食品や飲料水の塩分測定にはよく利用される分析方法です。その中で、蛍光ペンや
バスクリンなどの入浴剤にも使用されている色素(フルオレセインナトリウム)を
使った方法(ファヤンス法)を用いました。滴定前は、鮮やかな黄色蛍光色ですが、
滴定が進んでいくと次第にこの蛍光が消えていき、赤い色が見えることで、反応の
完結を知ることができます。
実験後、T君に感想を聞いてみました。
『今回みたいに身近なものを分析して、メーカーの成分表示の値とほぼ同じ結果を
出すことができたので、嬉しかったです。これから色々な実験を経験して技能の
幅を拡げて、色々なものを分析したいと思いました。』
今日は醤油という調味料の成分を分析しましたが、本校の卒業生にはミシュランシェフも愛用し、
モンドセレクションで金賞を受賞する醤油の製造企業を経営している方もいます。
(→ 過去のブログ「カリスマ分析化学者、世界一を目指す」をご覧下さい。)
醤油、蛍光ペン、入浴剤・・・身の回りにある化学からどんどん興味を膨らまし、将来は上記の
先輩のように活躍して欲しいと思います。
by あずみ