せんせのブログ

DNAのコピーを大量に増やす実験:『PCR法』

2013.05.14

本校の学生は実験を中心に分析化学を学んでいます。1年生の実験では、
分析化学者になるための基礎を学び、2年生では学科ごとの専門の実験を行
います。
 今日、生命バイオ分析学科と医療からだ高度分析学科の2年生は
『バイオ化学実験』を行いました。バイオ化学実験では、微生物・DNA・
タンパク質や酵素の実験を行います。わたくしMacもバイオ化学実験を担
当していますので、今日のブログでは、担当の実験について紹介します。

 私が担当している実験は『PCR法』です。PCR法とは、目的のDNAのコ
ピーを大量に増やすことができる実験方法です。
PCR法はバイオ実験の基礎となる実験で、食品の品種鑑定や遺伝子組み換
え食品の判定、アレルギー源の混入判定、犯罪捜査などにも用いられてい
ます。

 実験サンプルは、先週のバイオ化学実験で植物から取り出した(抽出と言
います)DNAを使用しました。DNAは生物が持つ遺伝物質です。もちろんヒ
ト、動物や植物も持っています。今回の実験では、抽出した植物のDNAか
らDNAの一部分のコピーをPCR法で増やしました。

 写真は、実験中の学生たちの様子ですが、真剣に実験をしていました。
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↑ サンプルと試薬を混ぜています。
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↑ DNAのコピーは、サーマルサイクラーという装置(写真左側の装置)で増
やします。

 DNAのコピーが増えているかどうかは、下の写真のように電気泳動(DNA
を分子量の大きさごとに分ける方法)という実験を行い確認します。
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↑ 電気泳動装置にサンプルをセットしています。

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↑ 実験結果を記録するため、写真を撮っています。

 学生たちは実験当日までに原理を調べたり、実験方法や必要な器具、
試薬を確認したりして実験の準備を行っているので、スムーズに実験が進
みました。さすがです。実験もうまくいきましたので、学生は成功・達成
感を味わった様子でした。

 実験後、学生たちに実験の感想を聞いてみました。
「PCR法はバイオ化学実験で楽しみにしていた実験の一つでした。今日使
った機器は初めて使ったので、しっかりと機器の使い方などを復習したい
です。」と言っていました。感想を聞いた学生(二人ともSさん)は、ずっと
今日の実験を楽しみにしていた様です。

さらに
「今度は微生物やタンパク質、酵素の実験をするので、たくさんの実験技
術を自分のものにしていきたいです。」と今後の意気込みも語ってくれま
した。

 学生たちが希望する分析化学者としての目標はそれぞれですが、学生か
らはたくさんの実験技術を自分のものにしようとする熱い気持ちが感じら
れました。そんな学生たちの意気込みを今後もサポートしていきたいと思います!!

By Mac