せんせのブログ

「色」を使ったいろんな実験

2013.05.20

今日は2年生の資源分析化学科と有機テクノロジー学科、
3年生の医療からだ高度分析学科の実験を紹介します。
今日の実験は「色」を使ったものばかりでした。

水質を「色」で調べる

2年生の資源分析化学科の実験を見てみましょう。
今日は、川の水の水質分析を行っていました。
まず、採取した水を熱して濃縮します。
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そしてその水の中に含まれる
「リン」と「アルミニウム」の分析を行います。
「リン」は、私たち人間を含む、多くの生き物たちの栄養源として
重要な元素の一つです。
生物には重要なこの元素も、
川の水の中に過剰に含まれていると、
微生物や植物の栄養源となるため、河川水の汚染に繋がるのです。
そのリンの分析方法としては、「色」を利用します。
元々リンは無色の元素ですが、
そこへある薬品を加えると、
その薬品とリンが反応し、写真のように青色に変色するのです。
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この青色が濃ければ濃いほど、
たくさんのリンが含まれているという仕組みです。
そして、その色を調べるのが「分光光度計」と呼ばれる装置です。
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見た目だけでは、どんな色が、どれぐらい濃いのか、
ということを数値として出すことは不可能ですが、
この装置を使うことで、
色の種類(どんな色なのか)と
その濃度(どれぐらいの濃さなのか)を
数値として出すことができます。

一方、こちらは「アルミニウム」を調べています。
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アルミニウムは金属元素の一つで、軽くて丈夫な性質があるため、
身近には飲料水の缶や、飛行機などの乗り物の機体などに使用されています。
しかし、これが水の中に含まれていると、
体に有害な物質となってしまいます。
このアルミニウムも「色」で分析します。
また薬品を加えると、
薬品そのものは黄色をしていますが、
アルミニウムが含まれていると、
そのアルミニウムと反応し、オレンジ色に変色します。
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その変色具合によって、アルミニウムの量が分かるのです。

しかし、資源分析化学科のO君に、
今回の測定結果を尋ねてみると、
今回採取した河川水に顕著な汚染は認められなかったとのことでした。
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(手前の学生がO君)

「最近はどこの川の水も、
今回の測定法で検出されるほどの汚染はしていないそうですよ」
と嬉しそうに話していました。
分析した上で、そんな話を聞くと、ちょっと安心しますね。

食品の「色」を分析

2年生の有機テクノロジー学科、
3年生の医療からだ高度分析学科の実験では、
トマトに含まれている「リコペン」の抽出を行っていました。
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トマトは赤色をしていますが、
リコペンはその赤色の成分の一つです。
最近は、我々人間の健康を支える成分としても注目され、
リコペン入りのサプリメントなども売っていたりします。
今回はそのリコペンが、実際にトマトの中にどれぐらい含まれているのか、
を調べる実験です。
今日は生のトマトと、缶詰のホールトマトの二種類を使用しました。
3年生のM君が持っているのが生のトマトをミキサーにかけたもの。
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(M君は分化祭の実行委員長として活躍してくれています→5月16日のブログ
そして缶の中に入っているのがホールトマトをミキサーにかけたものです。
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この一部を取り出し、そこへ有機溶媒を加えると、
オレンジ色の色素が有機溶媒の方に溶け出しました。
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このオレンジ色が、リコペンです!
これをやはり「分光光度計」で測定することで、
トマトの中に含まれていたリコペンの量を測定することができます。
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生のトマトよりも、缶詰のトマトの方が、
1グラム当たりのリコペン量が多いことが分かりました。
どうしてこの結果となったのか、
「なぜ?」を考えるのも分析化学者の仕事、
みんな思い思いに理由を考えていました。

2年生になり、
身近な食品や水などを調べる技術を
さらに一つ一つ身につけていきます。
今日はカラフルな実験で、
みんな楽しそうでしたが、そうやって楽しみながらも、
分析化学者にさらに一歩近づいた彼らの顔は、
どこか誇らしくも見えました。
彼らの社会で活躍する日が、とても楽しみです!

byあおひげ