2013.06.21
今日の実験室では、学生たちはそれぞれの専門分野に分かれて
様々な実験をしていました。
本校の学生は、卒業後環境・バイオ・食品・化粧品・医薬品・自動車...などと
非常に多岐にわたる分野で、化学者として活躍することになります。
化学者ってどんなことをするのが仕事なのか
なかなかイメージがわかない・・・という方もおられるかもしれませんが、
本校のカリキュラムは、就職後に即戦力となれるべく、
入社後の仕事内容に沿ったものとなっています。
今日は学生たちの実験の様子を通して、
彼らの将来の化学者としての姿をお届けしましょう。
上の写真で2人の学生が手にしているのは、
有機テクノロジー学科2年生の彼女たちが1から合成したナイロン。
ナイロンといえば、ストッキングや衣服でもよく使用されている合成繊維であり、
皆さんも聞いたことがあると思います。
「身近な素材を合成できるスペシャリストを目指す」有機テクノロジー学科の彼女たちにとって
ナイロンの合成はもはやお手の物。
とはいえ、作り上げたものが本当に計画通りにナイロンの構造をとっているのか
その確認は必須です。
合成したナイロンをFT-IRと呼ばれる分析機器にセットして・・・
この実験の担当である、あおひげ先生の厳しいチェックが入ります。
結果は・・・「合格!」
あおひげ先生からは、「うん、上出来」とのお墨付きが入りました。
合格の言葉をもらったSさんは
「自分自身の手で1から物質を作り上げていく操作はとても楽しいです。
しかも、それがちゃんと正しく出来上がっているか、
しっかりデータとして確認できるので、いいデータが出ると誇らしいです(笑)」とのこと。
ちなみにこちらの、同じく有機テクノロジー学科のI君が手にしている不思議な物体は
「発泡プラスチック」。(何だかちょっと美味しそう・・?)
「めっちゃうまく膨らみましたよ、大成功です。」と嬉しそうに見せてくれました。
彼らが今身につけつつあるモノづくりの技術は、
卒業後は化粧品や食品、プラスチック、繊維などの新素材開発の現場で
生かされることになります。
きっと今日のこの実験中のように、
「できたー!」と嬉しそうな顔をしながら活躍していくのでしょうね。
さて、続いてレポートするのは2年資源分析化学科の学生実験の様子。
「先生、めっちゃ綺麗な色の溶液がありますよ。」と
カメラを持ってウロウロしている私アビーに、学生が声をかけてくれました。
学生の手元を覗いてみると・・・確かに!
まるでオレンジジュースや紅茶のような色だねぇ!などと話していましたが、
実はこの色の正体は、ニッケルやクロムなどの金属溶液の色です。
もともとは下の写真のようなステンレス(包丁などの素材でもお馴染みの合金です)
から抽出したものだそう。
一種類の金属だけでは問題となってしまう腐食性や強度をより強化するため、
先人化学者たちは、複数種類の金属を様々な比率で配合し、合金を作り上げてきました。
今日の資源分析化学科の学生たちは、このような金属の分析をする勉強をしていたのでした。
このような技術がしっかりと身につくことで、
金属材料の分析はもちろんのこと、例えば川の中の重金属の分析といった、
環境問題解決の現場で活躍することができます。
それにしても、このようなカラフルな色の変化が見られるのは
化学実験の醍醐味!
学生たちも色の変化を楽しみつつ、真剣な様子で実験をしていました。
さて、上記のように2年生以上の学生たちは手馴れた様子で実験を進めていますが、
もちろん皆入学時からこうだったわけではありません。
「入学するまでほとんど実験をしたことがなかった」という学生も少なからずいます。
では、入学して半年足らずの、今の一年生の様子は・・というと?
こちらのチームの一年生は、何やらちょっと真剣かつ静かなムードで実験中。
(本校の実験は、少人数で指導ができるよう、学科をいくつかのチームに分け、
実験テーマを日毎にローテーションで回しながら実験を行っています。)
これまで身につけた実験技術、特に、ビーカーやメスフラスコ、天秤の使い方や
基本的な操作の確認試験を受けていたのでした。
一人で全部の操作をしなくてはならないということがあり、ちょっと緊張していた学生もいたようですが、
「なんとなく出来ていたように思っていたことが実は曖昧だったり、
今日は自分の弱点が知れてよかったです。」とのこと。
こちらは別のチームの様子。
このチームは今日は確認試験ではなく、自分たちで作った頭痛薬成分の分析をしていたようですが、
ちょっと操作に失敗してしまった様子。
指導担当のマカロン先生に再度やりなおしの指導を受けたところでした。
でも、一つミスに気づけてよかった!ここから一つの成長がまた始まります。
めげずに頑張れ!
さて、一通り学生たちの様子を見て回ったあとは、
私アビー自身も実験を行いました。
材料はこちら。
砂糖にコーンスターチ。よく台所でみるものばかりですね。
これは一体何をしているのかというと、来週土曜日に実施される「土曜化学実験会」の
予備実験をしていたのでした。
手を動かす私の周りには、1人、2人・・・そして気づけばたくさんの学生たちが
集まって来て、「先生、楽しそうですね、それなんですか?」
「先生、僕の実験もう終わったんで手伝いますよ!」と声をかけてきました。
本当に本校の学生は実験大好きです。
実験はやればやるほどその楽しさに病みつきになるものであることは、本校の学生の様子で証明済みです(笑)。
「実験は不慣れなんだけど、ちょっと自分も試してみようかなぁ」と思われる高校生の皆さん、
また、「生徒に、やみつきにできるような実験をさせてみたいなぁ」と思っておられる
高校の先生方!
来週の土曜化学実験会は、定員まであと少し余裕があります。
ぜひ気軽にご参加ください(^^)
詳しくはこちら→「平成25年度土曜化学実験会」
本校の学生のように、「実験が楽しい!」をきっと、
全身で体感いただけるかと思います。
byアビー