2013.07.28
毎週、土曜日・日曜日に、社会人やフリーター、Wスクールの大学生などを対象に
分析化学の知識と技術を修得し、スキルアップや転職を目指すために開講されている
化学分析コースが本日も実施されています。
今日の化学分析コース2年生は、午後から3日目の卒業研究を行いました。今までの
実験と違い決められた道筋はありませんので、まだどの班も手探り状態ではありますが、
少しずつ進歩しています。
先週も紹介したミカンから精油を取り出す実験を行っているグループは本日も抽出
操作を行っています。前回の方法では、抽出したリモネンの香りはするものの、
油状の液体を得るところまではできていませんでした。
学生達はそれぞれ実験方法の改良を自宅で検討し持ち寄り、今日はどこをどう変えて
実験に取り組むのか相談し、今日は2種類の改良を加えてみました。
出てきた案は、「揮発しやすい成分なので、今まで冷却管を水で冷やすだけだったのを、
三角フラスコも氷で冷やす。」「ミカンの皮をより細かくする。ハサミで切るだけじゃなく
ミキサーで粉々になるまで粉砕する。」という2件でした。さてはて、これでうまく
いくのでしょうか?
まず冷却の効果のみ試してみます。蒸留して得られたものを見てみると「先生、
小さい油の粒みたいなの浮いてますよ!」とT君の第一声。私も見てみると明らかに
昨日までと異なります。三角フラスコの上の方に油状のものが得られていました。
これが目的の物質なのか調べるためにガスクロマトグラフという装置で調べてみました。
化学分析コースの学生は、2か月ほど前に機器分析実験で扱ったばかりの装置なので、
操作はしっかり覚えている様子です。
さて出てきた結果はと言うと...
大きなピークの横にチョコンと小さなピークがありました。実はこれがリモネンという
物質(オレンジオイルの主成分)なのです。
1日目2日目と、不十分であった点を自分たちで考察し、改良を加えた結果、1つ課題が
クリアできた瞬間でした。学生達も「冷却でよかったんや!次は粉砕の効果の確認やなぁ。」
とメンバー同士話し合っていました。こうやって1つの工夫の効果を実感し、更に工夫を
重ねていく、その経験がみんなの成長に繋がるのです。
今日の所は、粉砕したものの成分確認はできませんでしたが、蒸留は完了しています。
見た目には明らかに油状の物質が得られていましたので、次回の確認試験が楽しみです!
by ドラ一郎