2014.06.28
本校には、平日に通学できない社会人やフリーター、大学生等を対象に週末(土曜日・
日曜日)だけの通学で、平日の学科と同様に2年間で卒業することができ、
毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の
国家資格も卒業と同時に全員が取得することができる「化学分析コース」があります。
このコースでは、技術職への就職や転職、現職でのキャリアアップやスキルアップ、
勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に必要な国家資格の取得などの多種多様な
入学目的を持った学生が学んでいます。
また、このように多彩な入学目的を持つ学生に対応するため、化学分析コースは、
1学年あたりの定員を20名とする少数精鋭で開講しています。
分析の手法には、ガラス器具を用いて自らの手で行う方法(手分析)と分析機器を用いて
行う方法(機器分析)があります。
1年生の基礎化学実験では、今回から3回にわたって、企業などの分析の現場で最も汎用
される分析機器を用いた機器分析実験を行います。
1回目の本日は、吸光光度計(光を吸収する性質を持った物質に対して、照射した光の吸収
された量から溶液中に含まれる物質の濃度を測定する装置)を用いた実験を行いました。
測定の原理や装置の構造の概要は授業で説明していますが、装置を使うのは初めてなので、
まずは装置の構造や取扱い方から注意点やコツまで丁寧に説明していきます。
説明を聞いた後、各班に分かれて、本日測定する過マンガン酸カリウムの溶液を調製
しました。
分析機器で目的成分の濃度が分からない試料(未知試料)を測定するためには、
未知試料の測定前に、分析機器が示す電気的な信号強度の値(吸光光度計では吸光度
と言います)と濃度の関係を表すグラフ(検量線)を作成しておく必要があります。
今回の実験では、検量線を作成する方法を修得することも課題の1つです。
そこで、先ほど調製した溶液(原液)を基に、濃度の異なる溶液を5種類調製しました。
原液(一番左の溶液)から濃度の異なる5種類の溶液が完成。
濃度に合わせて、溶液の色の違いが明確ですね。
溶液の調製ができた班から、はじめに聞いた注意事項を確認しながら、測定を行いました。
少人数の班で実験を行うため、全員が装置を操作することができ、自らの手を動かして、
技術を体で覚えられるのも、化学分析コースの魅力です。
実験後の学生に感想を聞くと
『授業や実験のガイダンスで吸光光度計や検量線について学びましたが、今日、実際に
装置を使ったり、検量線を作成したりしたことで、より深く理解できました。次回以降も、
授業で学んだことをより一層理解できるように、しっかり実験に取り組んでいきたいと
思います。』
『初めて機器を使った実験を行い、これまで以上に分析を行っているという実感を
強く感じました。』
と話してくれました。
分析の現場で広く用いられる機器分析について、授業で学ぶ知識と実験で学ぶ技術を
活かして、現場で活躍できる分析化学者を目指し、知識と技術を着実に修得していきましょう。
by みなと