せんせのブログ

一つの実験を多角的にアプローチ!

2014.08.30

本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。

今日は午後から実験、1年生は分析する成分が「どれだけ含まれているのか」を
調べる実験「定量分析実験」に取り組みました。先日(7月27日)のブログで、
実験ガイダンスの様子を紹介しましたが、今日は実際にpHメーターを使用した
中和滴定(電位差滴定)の実験を行いました。

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中和滴定は、初歩的な実験でもありますが、奥が深いのも特徴です。この手法で
食品や清涼飲料水に含まれるすっぱい成分(酸)の濃度を分析したり、水質中の
汚濁成分(アンモニアなど)の濃度を分析したりと、実際に化学分析の仕事でも
活用されている手法です。

1年生は、入学して間もない頃に「基礎化学実験」で中和滴定を経験しましたが、
その時は溶液の色が変化することによって化学反応(中和反応)の終わりを知る
指示薬法という手法を学びました。今日は、pHメーターという機器を使用した
分析方法をマスターすることをテーマに実験を行いました。

ただ、以前の実験でマスターした手法と、今日学ぶ実験方法は、異なる手法でも
同じ中和滴定ですので、「得られる実験結果は同じになるハズ!」と学生たちは
考えているようです。そこで、2つの手法で分析して、実際に結果を見てもらう
ことにしました。結果、2つの手法で得られた分析データに違いが見られたよう
です。何故、異なる分析結果となったのか・・・・。これは、実験レポート提出
までの課題になりました。実験後の、M君(左写真の左側)の感想です。

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 『中和滴定は以前にも経験しましたが、pHメーターを使用した方法は初めてでした。
  ただ、ガイダンスで大きくpHが変化する部分が、中和反応の完結であると教わって
  いたので、戸惑うことなく実験を進めることができました。また、指示薬を用いて、
  溶液の色で滴定する方法と、分析結果にズレがあることには驚きました。このズレが
  何故生じたのかを考えますが、分析方法の特徴を把握することがとても重要であると
  感じた実験でした。』

化学分析コースは、一人の教員が見る学生数の面でよりマンツーマンに近いため、一つの実験に
対して、色々な角度から工夫することができます。単にテキスト通りの実験を行うのではなく、
それと併せて考える力を身に付けて欲しいと考えています。

by あずみ