2014.09.14
本校には、平日に通学できない方を対象とした、土曜日・日曜日開講の
「化学分析コース」があります。週末を活用することで、平日の学科と
同様に2年間で卒業することができ、毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業
責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格も卒業と同時に全員が
取得することができます。
このコースに在学する学生の入学目的は、例えば、技術職への就職や転職、
現職でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や自ら経営する企業の
事業拡大に必要な国家資格の取得など多彩です。そして、多種多様な目的に
対応するため、1学年あたりの定員を20名として、少数精鋭で開講しています。
試料中の目的成分の濃度を知るための分析方法には、分析機器を用いて行う方法
(機器分析)とガラス器具を用いて自らの手で行う方法(手分析)があります。
1年生もこれまでに、吸光光度計(光を吸収する性質を持った物質に対して、
照射した光の吸収された量から溶液中に含まれる物質の濃度を測定する装置)を
用いた機器分析や、滴定と呼ばれる手分析の技術を修得してきました。
(吸光光度計を用いた機器分析の実験の様子はこちらから、滴定の実験の様子は
こちらから、ご覧ください)
本日から2回にわたって、手分析の1つである重量分析法を行います。
重量分析法とは、濃度を知りたい目的成分を安定な化合物の状態にしたうえで、
化合物の重さを量り、その結果から計算して、試料中の目的成分の濃度を測定する
方法です。
重量分析法は古典的な方法ではありますが、唯一、直接的に重量を測定する方法で、
標準試料や標準溶液の調製には欠かせない方法であるため、修得を目指します。
1年生は、今回の実験で使う磁製の容器(るつぼと言います)や、るつぼを挟む器具を
初めて使うので、まずは使い方を准講師のM先生から教わります。
続いて、各自実験を始めます。まずは、るつぼの準備として、るつぼをガスバーナーで
熱し、乾燥させるとともに、容器の周りに付いた汚れを燃やして、きれいにします。
こうすることで、るつぼの重さを一定にします。
ガスバーナーで熱した後、るつぼを乾燥剤の入ったガラス容器(デシケーターと言います)
の中に入れて、冷まします。
先ほど教えてもらった操作方法を思い出し、慎重にデシケーターの中に入れています。
この実験では、1人1個、るつぼを担当して、全員が全ての操作を行います。
このように、各自で操作を行うことで、技術をしっかり修得できることも、少人数制の
化学分析コースの魅力です。
るつぼを冷ました後、るつぼの重さを量ります。
るつぼの準備と同時に、今回測定したい成分である鉄の化合物の沈殿を作り、ろ過により
回収します。
さらに、4月の最初の実験で自作したポリスマンというガラス器具を使って、ビーカーの
内壁に付いた沈殿もしっかりと回収します。
本日の実験は、ここで終了し、続きは次回行います。
そこで、実験を終えた学生に感想を聞くと
『行っている操作は単純ですが、るつぼの扱い方、るつぼを冷ます時間を一定にすること、
沈殿を残さず回収することなど気をつける点が多くあり、正確な結果を得るためには、
正確で丁寧な操作が重要であることを、改めて感じました。このような基礎的な操作を
正確に行えるように、しっかり修得したいと思います。』
『2回にわたる実験なので、結果が出るのは次回ですが、できるだけ慎重に実験したので、
理論の値と実験の値が、どの程度一致するか楽しみです。』
と話してくれました。
このような古典的な方法には、基礎的な実験操作が色々と含まれており、基礎的な
技術を磨く、大切な機会です。
分析化学者としての自信を深めるためにも、しっかりと修得しましょう。
byみなと
※明日は「敬老の日」で、休校ですのでブログの更新はございません。