2014.09.21
本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。
1年生は、化学分析の基礎的な技能を身に付ける「基礎化学実験」が終了し、
何が含まれていのるかを調べる「定性分析」、どれだけ含まれているのかを
調べる「定量分析」の技能を修得する、一歩先のステップに移行しています。
今日の実験は、先週(9月14日)のブログでみなと先生が紹介しています、
定量分析実験の重量分析です。先週から続けて実施しているこの重量分析は、
古くから化学分析に用いられてきた方法ですが、時間を必要とすることや、
操作が煩雑であり、技能が未熟であると誤差が生じやすい特徴があります。
一方、分析対象となる成分の質量を直接測定する唯一の方法で、定量分析の
基準とされる標準試料の調製に利用されるなど、化学分析での重要な役割を
担っています。今回の実験は、溶液に含まれる鉄を沈殿させて、その沈殿を
坩堝(るつぼ)という容器中に入れて約1000℃程で加熱、組成を一定とし、
その質量を精密天秤で測定し、計算によって鉄の含有量を求めます。
H君(写真左)は、先週の実験から、できるかぎり慎重に操作を行ったので
実験値と理論値がどの程度一致するか、今日の実験が楽しみだったようです。
その結果はどうだったでしょうか?実験とそのデータ処理後の感想です。
『今回の実験はグループではなく、個人で全ての操作を行うものでした。
理論値と私が測定した結果の差は0.0006gと非常に小さくなりました。
先生から、誤差が1%未満であり、化学用体積計の取り扱いも含め、
実験全体を通して正確に分析できていると評価されたのは嬉しかった
ですし、自分自身でも満足しています。入学してから、確実に技術が
身に付いてきていると実感できた一日でした!』
この重量分析は、天秤での測定値が±0.0003g以内になるまで、何度も操作を繰り返して
始めてデータが得られます。根気も時間も要る実験ですが、前期に学んだ基本的な技術が
修得できているのか等を確認することができます。また、この実験の中で身に付く技術も
少なくありません。後期の実験は始まったばかりですが、一つひとつの実験で振り返り、
さらなる知識・技術の向上を目指してほしいと考えています。
by あずみ