2014.10.19
本校には、平日に通学できない方を対象とした土曜日・日曜日開講の「化学分析コース」
があり、技術職への就職や転職、現職でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や
自ら経営する企業の事業拡大に必要な国家資格の取得などの様々な入学目的を持った
学生が在学しています。
このように多彩な入学目的を持つ学生に対応するため、化学分析コースは、1学年あたり
の定員を20名とする少数精鋭で開講しています。
また、土曜日・日曜日の通学で、平日の学科と同様に2年間で卒業することができ、
毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格
も卒業と同時に全員が取得することができます。
本日、1年生は重量分析法によるアルミニウムの定量分析(濃度を測定する実験)を
行いました。
目的の成分を安定な化合物にしたうえで、その化合物の重さを量り、測定結果から計算
して、試料中の目的成分の濃度を決定する方法を重量分析法と言います。
重量分析法は古典的な方法ではありますが、唯一、直接的に重量を測定する方法で、
標準試料や標準溶液の調製には欠かせない方法であるため、修得を目指します。
今回の実験では、オキシンという物質にアルミニウムを捉えさせて、アルミニウムと
オキシンの安定な化合物を作り、その化合物をガラスフィルター(ガラス製のフィルター
が組み込まれたガラス器具)を用いて回収し、乾燥させて、重さを量ります。
この実験では、ガラスフィルターを1人1個ずつ担当して、全員が全ての操作を行います。
このように、各自で操作を行うことで、技術をしっかり修得できることも、少人数制の
化学分析コースの魅力です。
アルミニウムの溶液とオキシンの溶液を混ぜて、アルミニウムとオキシンの化合物を
作ります。
白く濁って、化合物ができたことが分かります。
洗浄した後、しっかりと乾燥させて、準備しておいたガラスフィルターで、この化合物を
回収します。
化合物がガラスフィルターで回収されて、透明な液体が下のガラスの容器にたまって
います。
より正確な結果を得られるように、4月の実験で自作したポリスマンというガラス器具を
使って、ビーカーの内壁に付いた化合物もしっかりと回収します。
その後、ガラスフィルターを乾燥機で乾燥して、重さを量ります。
しっかりと水分を飛ばさないと正確な結果を得ることができないので、重さが一定になる
まで乾燥と計量を繰り返します。
そして、一定になった重さを読み取って、その値からアルミニウムの濃度を計算します。
なお、本日中には、重さが一定にならなかったので、次回、続きを行うことになりました。
実験後に学生に感想を聞くと
『今回のような手分析(ガラス器具を用いて自らの手で濃度の測定などを行うこと)では、
実験の基礎的な操作が色々と含まれているので、こういった機会を大切にして、しっかりと
技術を磨いて、正確な結果を出すことができる分析化学者になれるように頑張りたいです。』
『今回の実験では、ガラスフィルターで化合物を回収する時に、水流を用いて吸引する
装置(アスピレーター)を使いました。この装置について、すでに授業で習っていたので、
その時に教わった注意点を思い出しながら、実験をしました。授業で学んだことを、実験
で実践して確認できるので、しっかりと理解することができています。』
とコメントしてくれました。
授業や実験を通して、1つ1つの知識や技術を着実に修得して、正確な実験結果を出せる
一人前の分析化学者を目指しましょう!
byみなと