2014.11.01
本校には、平日に通学できない方を対象とした土曜日・日曜日開講の
「化学分析コース」があります。週末を活用することで、平日の学科と
同様に2年間で卒業することができ、毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業
責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格も卒業と同時に全員が
取得することができます。
このコースに在学する学生の入学目的は、例えば、技術職への就職や転職、
現職でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に
必要な国家資格の取得など多彩です。そして、多種多様な目的に対応するため、
1学年あたりの定員を20名として、少数精鋭で開講しています。
本日、1年生は応用分析化学実験でした。
この実験では、これまでの実験で修得してきた技術を活かして、食品や河川水などの
実際の試料中の成分を測定します。
本日は、濃口醤油と薄口醤油の塩分濃度を、沈殿滴定という方法で測定しました。
滴定という実験操作は、これまでに何度も実験で行ってきましたが、沈殿滴定は初めて
なので、先日のガイダンスで教わったことを思い出しながら、実験に取り組みます。
まずは、濃口醤油と薄口醤油を希釈して、測定用の試料を調製します。
色は濃口醤油の方(左側)が濃いですが、塩分濃度は薄口醤油の方(右側)が一般的に
1割程度高いと言われています。
このことと一致する結果が得られるか、楽しみです。
準備した醤油の試料に銀イオンを含む溶液を滴下していきます。
滴定では測定の終了を知るために色の変化を利用しますが、今回、色変化を見るために
加えた試薬により、試料溶液が黄色くなっています。
醤油中の塩分(塩化物イオン)と滴下した銀イオンが反応して、白い沈殿が生じますので、
手元のコニカルビーカー中の溶液が段々と白濁してきています。
塩化物イオンと銀イオンの反応が終わると、次に色変化を見るために加えた試薬と
銀イオンが反応して赤褐色の沈殿が生じるため、この赤褐色沈殿が生じた時点を見極め
ます。
この変化は微少であるため、見極めるには目が慣れる必要がありますが、化学分析コース
は少人数のため、何度も実験を行うことができるので、経験を増やして技術の向上が図れ
ます。
これも化学分析コースの魅力と言えます。
実験終了後、結果をまとめている学生を見て回ると、濃口醤油と薄口醤油の結果に
ほとんど差がない班があったため、その班の学生に結果について聞くと
『私が持ってきた薄口醤油が減塩タイプだったため、このような結果になりました。
他の班の結果と比較することで、減塩タイプの醤油の塩分濃度が低いことも確認できました。
測定の終わりを見極めるのは少し難しかったですが、妥当な結果が出たので、とても
良かったです。』
と話してくれました。
他の学生にも話を聞くと
『今日は実際の試料を用いた実験だったため、今、修得している技術が仕事へと
つながることをより一層実感できたので、これからも1つ1つの技術を着実に
修得していきたいと改めて思いました。』
とコメントをくれました。
これからも月1回の割合で行う応用分析化学実験を通して、実務に役立つ技術を修得して、
実践力のある分析化学者へと成長していきましょう。
byみなと