2014.12.15
今日は資源分析化学科と有機テクノロジー学科2年生の卒業研究を担当しました。
前期の間、学生達は各自が興味を持つ研究内容と教員が提案した研究テーマを基にして
学生数名から構成される班を作りました。
卒業研究を班で行うのは、企業に就職してから職場で働くことを学生にイメージしてもらうためです。
実際に企業で働く際、自分ひとりで仕事をすることはありません。
色々な人と協力しながら、仕事を進めます。
その中には自分よりも年上であったり、話しにくい人であったり、
自分とはまったく違った考え方をする人もいます。
それを学生達に卒業研究によって体験してもらい、班で一つのことをやり遂げるためには
どうやって班員同士が協力し合わなければならないのかを知ってもらいます。
そのため、本校では学生が興味を持つ分野ごとに班を作り、卒業研究を進めているのです。
夏休み前に、卒業研究に使用する試薬や器具の選定を行い、
その後、9月から実際に卒業研究が始まりました。
卒業研究を始めた頃は、学生達と教員で考えた研究方法でしたが、実際に研究をしてみると
思い通りに進まないこともたくさんありました。
それは、先行文献を基に考えた内容であっても研究を行う上でのテクニックが不足していたり、
想像と実際の研究結果に違いがあったりするためです。
それでも10月から始まった、卒業研究内容の中間発表では、班を構成している学生以外や
班の指導をしている教員ではない他の教員からのアドバイスをもらうことで、
自分達の研究を深く追求する必要性を知ることが出来ました。
その結果、学生達は自分達の卒業研究内容をもっと掘り下げて考えて行くようになりました。
私が担当している卒業研究班は2つありますが、その中の1班は、
「今までに使われているエサよりも魚を集める力を高め、自然環境中で分解しやすい養殖魚用エサの開発」
を行っています。
この班が結成されたのは、もともと魚釣りが好きな学生達が、「魚がもっと釣れる餌は開発できないのか」、
「養殖で使われているエサが基で富栄養化につながるのではないのか」という点に興味を持ったためです。
学生達は自分達が学んでいる有機化学の知識と技術を使って、環境に優しく、
それでいて、よく釣れる新しいエサを開発しようという観点からこの研究が始まりました。
その研究を行っている有機テクノロジー学科のO君に卒業研究の感想を聞くと、
「自分たちが作ったエサを魚が食べるところを想像しながら研究するとワクワクして楽しいです。」
と言っていました。
同じ班のT君にも同じ質問をすると、
「休みの日に自分達が作ったエサを持って、実際に釣りに行きました。」
「その時、魚がエサに近寄ってきた時は、この研究の成果を感じて、この研究をやっていて良かったと思いました。」
と話してくれました。
私も実際に学生達が作ったエサを持って釣りに行き、
どのような魚がエサに興味を示すか、どんな魚が釣れるか、エサの硬さや魚を集めるための方法を
検討し、それを学生達にフィードバックしています。
そのデータを基にして、また学生達と試行錯誤を繰り返しながら、研究を進めています。
他の班も同様に班のメンバーが一緒になって協力しながら、教員の指導を受けながら、
卒業研究を進めています。
同じクラスの学生であっても、卒業研究が始まるまではあまり話したことのない学生同士が
今では協力し合って研究に取り組んでいます。
その表情が実験室にあふれています。
2月の卒業研究発表会に向けて、まだまだ、やらなければならないことはたくさんあると思いますが、
残りの時間を有効に使い、班で協力して卒業研究という課題を達成しましょう。
by バッテン