2015.01.17
本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。
1年生は午後から応用分析化学実験に取り組みました。この実験は定性分析実験
(何が含まれているのかを調べる実験)や定量分析実験(調べようとする成分が
どれだけ含まれているのかを調べる実験)で用いた原理や操作を応用し、食品や
河川水等の環境試料を、国や公的機関が定めた分析法(公定分析法)で測定する、
いわば1年生の集大成となる実験で、実務的な経験をすることも目的の一つです。
今日のテーマは、環境水のCOD(化学的酸素消費量)分析です。このCODは、
現代の主要な水質汚濁の原因である有機物が、水にどれだけ含まれているのかを
評価するための指標で、経済産業省が定めるJIS(日本工業規格)の分析法に
従って操作を進めていきます。
操作の一つに、この測定の妨害物質を取り除く操作(マスキング)があります。
これには、定性分析実験で学んだ沈殿生成反応を活用します。
また、最終的な操作は、定量分析実験で学んだ酸化還元滴定を行います。つまり、
これまでに実施した実験が凝縮されているのです。
実験後M君(写真)は、次のように話していました。
『CODの測定方法については、授業や公害防止管理者のテキストで
勉強したので知っていましたが、今日実際に実験操作を行ってみて、
色の変化やタイミング、妨害物質のマスキングの実際の状況などが
よく分かりました。実際の試料を用いた実験の経験は、転職した後、
役立つと思うので、しっかり修得していきたいと思います。』
M君は、大学の文系学部を卒業し、現在は総務関係の仕事に従事していますが、高校時代に目指した
技術系の仕事に転職したいと入学した学生です。環境問題にも興味があり、入学して半年間の勉強で
公害防止管理者(水質関係第1種)試験にも合格し、卒業後は環境分析を事業活動とする企業へ就職
したいという目標も定まりました。その目標を達成できるように、一つひとつの授業・実験で確実に
知識と技術を向上させてほしいと思います。
by あずみ