2015.02.08
本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。
さて、昨日のブログにもありましたように、化学分析コースの2年生にとって、
2年間の集大成となる卒業研究発表会が終了しました。学生のほとんどが平日は
働きながら、週末にコツコツ学び、実験を繰り返し、知識と技術を修得したその
成果を、この発表会で発揮してくれたと思います。平日の学科・コースの学生は
既に卒業論文を提出していますが、化学分析コースの卒業論文提出は来週が提出
期限となっていますので、もう一頑張りして欲しいと思います。
1年生は、次は自分たちがどのような卒業研究を行うのか、という視点も持って
発表会を聴講していましたが、1年生もこの1年間を締めくくる大詰めの時期と
なりました。今日は午後から、「定性分析実験」の実技試験を受験しています。
学生の多くは、分析化学の実務的な技能を保証する国家資格「技能士(化学分析)」
試験の合格を一つの目標としていますが、技能士(化学分析)試験は筆記試験に
加えて実技試験が課せられます。今日、1年生が取り組んだ定性分析実験はこの
国家試験の科目であり、国家試験に向けた受験対策という位置付けでもあります。
定性分析は、調べようとするものの中に、何が含まれているのかを明らかにする
分析技術です。学生が化学反応を駆使して検出に努めた成分は金属イオンですが、
この定性分析が起源となり製品化されたものも少なくありません。例えば、柳の
樹皮などに含まれる成分の定性分析から解熱沈痛剤のアスピリンが開発されたり、
昆布に含まれる成分の定性分析から旨味調味料が開発されたりと、医薬品・食品・
材料・環境・バイオ・化粧品・・・といった多種多様な分野で欠かせない技術です。
12月から今日の実技試験を合わせて4回の実技試験を実施しましたが、早々に
国家試験の合格基準に達した学生もいれば、そうでない学生もいました。今日で
実技試験は最後ですが、結果として全員が国家試験の合格基準に達していました。
全ての成分を正確に分析できた学生の一人、Tさん(上の写真)の感想です。
『今日の実技試験で、全てのイオンを検出することができて、とても達成感があります。
この実験を通して、金属の様々な性質を知ることができました。私は、環境分野への
就職を目指しているので、さらに深く、金属の性質を学んでいきたいと考えています。
また、2年次には化学分析技能士3級の受験を考えているので、しっかりと復習して
臨みたいと思います。』
技能士(化学分析)の国家試験は、1級~3級の受験区分があります。実務経験・経歴などで
1級・2級の受験資格をもつ学生もいますが、3級は全員がチャレンジできます。実技試験は
本校が指定会場となっていますから、今日、実技試験を受験した実験室が国家試験の会場です。
使い慣れた実験室で落ち着いて受験することができますので、この実験で学んだことを活かし、
技能士(化学分析)資格の取得に挑戦して欲しいと思います!
by あずみ