せんせのブログ

授業と実験で生きた知識を身につけよう!

2015.05.09

本校には、平日に通学できない方を対象とした土曜日・日曜日開講の
「化学分析コース」があります。週末を活用することで、平日の学科と
同様に2年間で卒業することができ、毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業
責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格も卒業と同時に全員が
取得することができます。

このコースに在学する学生の入学目的は、例えば、技術職への就職や転職、
現職でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に
必要な国家資格の取得など多彩です。そして、多種多様な目的に対応するため、
1学年あたりの定員を20名として、少数精鋭で開講しています。


本日、2年生は午後から機器分析実験を行いました。
本日使用した吸光光度計は、これまでにも使用したことがあります。
但し、これまでは定量分析(目的成分の含まれている量を調べる実験)を行うために
用いてきましたが、本日は分析化学でよく使われる「定数」を求めるための実験を行いました。

その定数とは「酸解離定数」と呼ばれるもので、溶液中に存在している化学種の割合や
物質の結合比を求める時に、よく使われる定数です。
これまでに、学生たちは授業で酸解離定数について学んでおり、その定数を用いた計算
問題にも取り組んできています。
今回は、pHによって色が変化する色素を用いて、実験から酸解離定数を求めることで、
この定数について、より深く理解することが目的です。

また、これまでの実験では、実験の条件は全てテキストに書かれていましたが、
今回は、予備実験を行い、実験を行うのに適した溶液の濃度を決めることから、
始めました。

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准講師(非常勤)のM先生の説明を聞いて、予備実験の結果から、適した濃度を
検討しています。

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これまでに何度も行い、慣れている滴定という操作を利用して、pHの異なる溶液を
用意しています。

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pHの異なる溶液に、pHによって色が変化する色素を加えて、測定試料を準備しました。
色の変化(グラデーション)が目視でも分かりますね。

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測定試料を順に吸光光度計で測定しました。機器の操作にも慣れてきて、スムーズに
測定を行っていました。

実験後に、学生たちに感想を聞くと
『予備実験を行い、実験条件を決めるという初めての経験をしました。卒業研究では、
こういった実験条件を考え、決めていくことから始まることを伺い、しっかりと計画を
立てて、研究を進めていく必要があると思いました。卒業研究が、今から楽しみです。』
『授業で学んだ酸解離定数について、実験を行うことで、視覚的に把握することができ、
より一層理解が深まったように思います。さらに、pHによって色が変化する色素を用いた
実験で緩衝液(pHの変動を抑える能力を持った溶液)を使う理由についても理解すること
ができ、とても有意義でした。』
と答えてくれました。

実験を通して、授業で学んだ理論を再確認することで、生きた知識として活用していける
ように、しっかりと理解を深めていきましょう。
さらに、実験を通して、研究を行う時は、まず実験条件を確立することから始める場合も
あることなど、研究の進め方についても、学んでいきましょう。

by みなと