2015.06.06
昨日(6月5日)は「環境の日」。環境保全への関心と理解を深め、積極的に環境保全活動を
行う意欲を高める日として法律で制定されています。また、この目的に沿った取り組みを行う
期間として、6月は「環境月間」と定められています。今日は、平日学科・コースの学生達が
主体となって環境活動を展開している「環境委員会」の活動について紹介したいと思います。
この環境委員会の活動の一つに「道頓堀川水質調査」があります。平成16年度から継続して
実施しているこの調査は今年で12年目を迎えました。道頓堀川というと、阪神タイガースが
優勝する際にニュースでも放送される川へのダイブが有名ですが、その川が道頓堀川なのです。
しかしながら、そのダイブへの賛否と水質問題に関しては、いつも話題となりますが、そこで
客観的にその是非について判断できる材料の一つを広く提供すること等を目的に、本校学生が
継続的に水質を測定し、情報を提供しています(これまでの結果は、こちらをご覧ください)。
昨日までに、この調査に向けた準備が着々と進められてきましたが、調査そのものは今日から
スタート!学生たちは通常の登校時間よりも早く集合し、河川などの水を採水する専用の道具
(採水器)や、現地で実施しなければならない水質分析機器を持って道頓堀川に向かいました。
道頓堀川に到着!大阪ミナミの代名詞でもあるグリコの看板です。現在の看板は昭和10年に
設置された初代から数えて六代目、省エネ性能に優れたLED(発光ダイオード)照明を採用
した"エコ看板"です。
採水は3つの地点で実施されました。その様子に、道行く観光客の人も気になるようでした。
採水に使用した道具はこれ!(左写真)、バンドーン採水器といいます。この採水器で上手く
採水するのはちょっとしたコツが必要ですが、初めて使用する1年生も挑戦し、全く問題なく
採水できたようです。先輩たちのアドバイスがよかったのでしょうか。
採水が終了しても、直ぐに帰校するわけではありません。河川水等の調査では、変化しやすい
成分はその場で分析し、また実験室に持ち帰るための処置を行う必要があります。
そのような頃、本校の実験室では水質調査の当日準備が着々と進んでいます。水質分析や細菌
検査に必要な器具・試薬等の準備ですが、1年生には上級生が丁寧に説明しているようです。
その後、採水を終えた学生も学校に戻り、水質調査が始まりました。このグループは溶存酸素
(水中の酸素量)を測定するグループ、ここでも上級生が1年生に操作の演示をしています。
細菌数を調べるグループや、プランクトンなどの微生物を観察するグループでも、上級生から
1年生に操作方法やその意味などを説明しているようでした。以下は、学生たちの感想です。
2年生(生命バイオ分析学科)Wさん(上の写真中央)
『私も、去年は先輩から何度もアドバイスを受けながら技術を高めていったので、
私も後輩にしっかりと技術を伝えていきたいと思います。』
1年生(資源分析化学科)Hくん(上の写真中央)
『基礎化学実験で中和滴定を行いましたが、溶存酸素(水中の酸素濃度)の測定で
実施した酸化還元滴定は初めての経験でした。間違えないか心配で、一つひとつ
先輩に確認しながら進めました。』
1年生(有機テクノロジー学科)Sくん(上の写真右から3人目)
『普段の実験とは異なり、自分の測定結果が「道頓堀川水質調査」全体の結果にも
直結しているので、責任を持って行わなければと、少し緊張しました。』
1年生(有機テクノロジー学科)Eさん(上の写真右側)
『今までに経験したことのない実験が経験できて、また細やかな作業が好きなので
細菌検査の操作がとても楽しかったです。来年はこの細菌検査を後輩に指導する
中心的なメンバーになりたいと思います。』
2年生(生命バイオ分析学科)Nさん(上の写真左側)
『とても真剣に知識や技術を学ぼうとする、しっかりとした後輩が参加してくれて
嬉しいです。その後輩には、次年度の中心メンバーになって欲しいと思います。』
これまでの記載のように、この「道頓堀川水質調査」の活動は、学生の委員会が主体的に行う
活動であり、私たち教員も主に安全上等の観点で監督・指導を行うものの、技術面や知識面は
上級生から下級生へと引き継がれます。昨年度は上級生から指導されていた学生が、今年度は
しっかりと後輩を指導する様子を見ると、普段と違った視点から学生の成長が感じられますし、
分析化学者としてのデビューは卒業した後になりますが、今から非常に頼もしく思えてきます。
この道頓堀川水質調査は明日も続きます。明日以降は測定結果も出てきますので、どのような
結果になるのか、今から楽しみです!
by あずみ