2016.05.22
本校には、平日に通学できない方を対象とした土曜日・日曜日開講の「化学分析コース
(平成29年度入学生からは分析化学応用学科)」があり、技術職への就職や転職、現職
でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に必要な
国家資格の取得などの様々な入学目的を持った学生が在学しています。
このように多彩な入学目的を持つ学生に対応するため、化学分析コース(平成29年度
入学生からは分析化学応用学科)は、1学年あたりの定員を20名とする少数精鋭で開講
しています。
また、土曜日・日曜日の通学で、平日の学科と同様に2年間で卒業することができ、
毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格
も卒業と同時に全員が取得することができます。
先日のブログで化学分析コース(平成29年度入学生からは分析化学応用学科)の2年生は
卒業研究の班分けが発表になり、卒業研究が実質的にスタートしたことをお伝えしました。
現在、学生たちは具体的な研究計画を少しずつ話し合っているところですが、その中では
試料としてお茶や香辛料を用いることが検討されています。
このように卒業研究や実際の分析の現場では、純度の高い試薬を分析することもあります
が、多くの場合、食品のように様々な成分を含んだ試料を扱います。
こういった試料の場合、試料の採取の仕方や採取した試料の保管の仕方によって、成分の
組成に偏りが生じたり、成分そのものが変化してしまったりして、正しく分析できない
ことがあるので、採取や保管の仕方も重要です。
また、試料には食品や化粧品のような固体もあれば、川の水やドリンク剤のような液体、
大気や呼気などの気体もあり、それぞれに合った採取や保存の方法があります。
今週、2年生が受けた授業の1つに「化学分析法III」という科目があります。
この科目では、1年前期開講の「化学分析法I」から2年後期開講の「化学分析法IV」まで
大きく4つに分けて、化学分析の初歩から実践までの知識を段階的に学んでいきます。
1年生の時は実験器具の名称や扱い方から始まり、ろ過や抽出といった基本的な実験操作
について学び、2年生では様々な試料に対する前処理の仕方や分析結果の読み取り方など、
より実践的な内容について学びます。
今回は試料採取の中でも、気体の採取方法を学んでいます。PM 2.5といった近年話題の
物質についても説明があり、学生たちは真剣に聞いています。
写真に写っている非常勤講師のH先生は大手塗料メーカーで分析部門の立ち上げから
参加し、さらには分析部門をけん引、後輩の指導にも当たってこられた方です。また、
塗料はもちろんのこと、色素や環境といった様々な分析を経験されるなど、40年間に
わたり化学分析に携わってこられた方です。
このように、初歩から応用まで無理なく段階的に学ぶことができ、さらに実務経験の豊富な
教員から、実務に関する内容を学べたり、実務について相談ができたりすることも、
化学分析コースの魅力と言えます。
授業後に学生たちに感想を聞くと
『H先生は実務経験が豊富で、色々な体験談や実験のコツを話してくださるので、
毎回興味深く聞かせてもらっています。』
『授業の内容が段々と専門的、実務的になってきて、学びが進んできた実感があります。
さらに、得た知識を卒業研究で活かせるように、しっかり復習したいと思います。』
と話してくれました。
2年生になり、1年生で学んだ基礎的な知識や技術を基に、実務につながる知識や技術を
学んでいきます。そして、その集大成が卒業研究です。1つ1つ着実に学んで、実務に
向けた自信を深めていきましょう。
by みなと