2017.05.29
人々の安全・安心を守ったり、新しいものを生み出したりするために不可欠な分析化学
という技術を学ぶ本校では、着実な技術修得のために、実験中心のカリキュラムです。
具体的には、1年生の実験で分析化学の土台となる基礎的な実験操作方法を学び、
2年生前期に各学科の専門分野に関する実験を行うことで応用力を身につけ、
2年生後期の卒業研究を通して現場で即戦力となるための実務能力を養います。
また、本校の卒業研究はチームで、1年間をかけて行います。2年生の前期に班分けと
実験計画の立案を行い、後期から実際の実験、結果のまとめ、そして発表を行います。
毎年2月に行う卒業研究の発表会は、学校に求人をくださる企業の方や保護者の方、
そして一般の方など多くの外部の方にお越しいただき、盛大に行っています。
(昨年度の卒業研究発表会の様子はこちらから)
現在の2年生もすでに、卒業研究テーマの希望調査と、それに基づく班分けが発表され、
各テーマの担当講師と相談しながら、実験計画の立案に入っています。
先日のブログでは、せんぱい先生の担当する卒業研究班が計画立案に向けた話し合いを
行った様子を紹介しました。
上述のブログに登場した資源分析化学科の2年生は本日、金属材料などの分析方法を学ぶ、
材料分析化学実験を行いました。
本日の実験テーマはステンレスに含まれるニッケルの含有量の測定です。このように、
2年生の実験では実際の製品などの実試料を用いて実験を行います。
ステンレスのワイヤーを酸性の試薬で溶かした溶液をろ過しています。
実際の製品を使う実験に、学生たちも興味津々で楽しそうです。
ニッケル特有の緑色の液体ができました!
続いて、ニッケルを捕まえることができる試薬を加えると・・・
あら不思議!赤い固まりができあがりました。
この赤い固まりをガラスフィルターで回収しています。
回収した赤い固まりを乾燥させて、重さを量ることでニッケルの量が分かります。
実験を終えた学生に感想を聞くと
『実際の製品を使いと、測定するまでの準備が大切であることが分かります。この準備
の部分も注意するべきところなどが多くあり、簡単ではありませんが、その分、きちんと
結果が出るか、毎回、楽しみです。』
『実試料を扱う上での注意事項は卒業研究にも通じると思うので、しっかり学んで後期
からの卒業研究の実験に活かしていきたいです。卒業研究は始まったばかりで、計画を
立てているところですが、とても楽しみです。良い結果を出したいなぁと思います。』
と答えてくれました。
資源分析化学科の2年生が実験室でニッケルの測定を行っていた頃、講義棟の教室では
有機テクノロジー学科の2年生が実験のガイダンスを受けていました。
本校では、実験を通した技術修得を確実なものとするために、実験の前に必ずガイダンス
を行い、実験の原理や概要、実験操作の注意点などへの理解を深めます。
有機テクノロジー学科では、分析化学だけではなく、化学のものづくりの技術である
有機合成の方法についても学びます。
私が教室をのぞいた時は、機能性有機工学実験の中で行うナイロンという合成繊維の
合成方法と、きちんと合成できたかを確かめるための分析方法についてガイダンス中でした。
かもみーる先生が合成方法を説明しています。
化学構造や実験器具の絵なども用いて、分かりやすいガイダンスを目指します。
分析方法の説明では、授業で使っている教科書も使って、データの読み解き方など
実践的な能力の育成を図ります。
ガイダンス後の学生に声を掛けると
『実際の製品を自分たちの手で作れるので、とても楽しみです。また、1年生で行った実験
の中でもっと楽しかった機器を使った分析を、今回の実験で行うので、今からワクワク
しています。2年生の実験は将来の仕事につながっている実感が湧くので、とても充実感が
あります。』
と話してくれました。
1年生で築き上げた土台に、実践的、実務的な技術を積み上げていく2年生の実験を
通して、分析化学のプロフェッショナルとして成長していってほしいと願っています。
実験を楽しみながら1つ1つ技術を磨き、成長していく2年生の姿を、今後も、この
ブログでご紹介していきますので、お楽しみに!
by みなと