2017.05.14
本校では、平日の学科には通学できない社会人や大学生等を対象とした、週末(土曜・日曜)開講の
「分析化学応用学科」を設置しています。この学科は、平日の学科で学ぶ専門分野を総合的に学べる
特徴もあります。また、週末だけの通学ですが、以下は平日の学科と同様です。
・2年間で卒業が可能
・毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の
国家資格を卒業と同時に取得することが可能
このコースに在籍する学生は、高校を卒業後すぐに入学される方はもちろん、社会人の方も少なく
ありません。社会人の方は、現職でのスキルアップや技術職への転職を考えている方、事業拡大を
考えている経営層の方以外に、就職活動を見据えて技術力を高める目的で大学生も入学しています。
環境・材料・バイオ・食品・医薬品・化粧品・有機合成等について総合的に学ぶことができるので、
就きたい仕事の分野が決まっていない方が、学びながらその方向性を決めていくこともできます。
このように多様な目的に対応するため、このコースは学年定員20名の少数精鋭で開講しています。
今日は、1年生・2年生の実験を少し見学してきました。以下の写真が、各学年の実験結果です。
左側は2年生の実験結果、いかにも実務的です。右側は1年生の実験結果ですが、2年生の結果と
比べると基礎的な実験結果に見えます。しかし、2つの実験には「クロマトグラフィー」という
共通した分析方法が用いられているのです。以下に、各実験の概要を簡単に紹介しておきます。
1年生が取り組んだ実験は「薄層クロマトグラフィー」です。
薄く薬剤が塗布されたているプレート(薄層)に色素を複数混ぜた溶液をスポットし、プレートの
一端を溶媒に浸すと、プレート上の薬剤の間を溶媒が移動して、それと同時に色素も移動します。
この際、薬剤と色素の相性の違いで混ざっていた色素を分離することができるのです。
2年生が取り組んだ実験は分析機器で行う「高速液体クロマトグラフィー」です。
入学から1年間が経過した2年生は、基礎的な実験から実務的な実験にステップアップしています。
今日は緑茶・紅茶・ウーロン茶など色々なお茶をサンプルとし、それに含まれる成分を分離して、
各成分量を分析しました。
つまり実験を通して、食品メーカーで常に行われている品質管理の実務を経験したことになります。
本校では平日学科・土日学科ともに、1年次前期に基礎的な実験を行い、それを礎として後期には
各種分析機器の取り扱いも修得していきます。2年次に入ると、企業が実際に実施する分析方法で
実際のサンプルを取り扱うようになります。入学してから、授業・実験を通して無理なく、そして
着実にレベルアップしていきます。今日の2つの実験はその一例ですが、高校時代に化学を学んで
いなくても、希望する業界で分析技術を活かせる仕事に就職できる一つの理由だと考えています。
1年生のM君(上の写真中央)は、調理師免許を取得しています。分析化学の技能を身に付けて、
食品業界で開発の仕事に従事したいと考えているようですが、実験後次のように話していました。
『2年生の実験を見ていると、今日はお茶の成分分析で食品分析ということもあって、
とても気になりました。1年生が今日実施した実験は、2年生が行った機器分析の
基礎であることを実験ガイダンスで聞いていますが、その実験が今から楽しみです。
そのためにも基礎力をしっかり身に付けたいと考えています。』
土日学科では、ほとんどの実験を1年生と2年生が同じ実験室で行いますので、1年生にとっては
今の2年生が1年後の自分の姿であると想像でき、学習意欲を向上させる刺激になっているようです。
少しずつ、そして着実に、それぞれの入学目的に近づいてほしいと思います。
by あずみ
追記:
今日のブログで取り上げた「クロマトグラフィー」ですが、ご家庭でも体験できる実験を
動画チャンネル内に「サインペンの色を確かめよう」という実験で紹介していますので、
こちらからぜひご覧ください!