2017.05.20
本校には、平日に通学できない方を対象に週末(土曜日・日曜日)だけの通学で、
平日の学科と同様に2年間で卒業することができ、毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業
責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格も卒業と同時に全員が取得すること
ができる「分析化学応用学科」があります。
この学科では、技術職への就職や転職、現職でのキャリアアップやスキルアップ、
勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に必要な国家資格の取得などの多種多様な
入学目的を持った学生が学んでいます。
また、このように多彩な入学目的を持つ学生に対応するため、分析化学応用学科は、
1学年あたりの定員を20名とする少数精鋭で開講しています。
本日、土日学科1年生は基礎化学実験を行い、「滴定」という化学分析方法に初挑戦
しました。
滴定は化学反応を利用する分析手法で、操作はシンプルですが、標準溶液(試料中の
目的成分の濃度を決定するための基準となる溶液)と指示薬(化学反応の終結点を
確認するための試薬)の組み合わせで様々なバリエーションがあります。
今回は試料溶液の酸性度を測る実験(中和滴定)を行いましたが、これ以外にも、
溶液中の金属の濃度、食用油の劣化度合い、環境水の汚れ具合など様々なものが測れます。
また、1年生の初めに行う基礎化学実験では化学分析の基本的な操作方法を学ぶことは
もちろんですが、化学分析を身近に感じてもらうことも目的の1つなので、身近なものを
試料として用いています。
5月13日のブログで紹介した実験では、本校の目の前にある大川の水を使いました。
今回は多くのご家庭の台所にある「お酢」を試料として用いました。
家から持ってきたお酢を量り取って、希釈する操作をしています。
きちんと一定量を量るために用いる体積計と呼ばれるガラス器具を本格的に使うのも
初めてなので、慎重に操作しています。
試料溶液や標準溶液の調製が終われば、いよいよ滴定操作です。
非常勤講師のM先生が、滴定操作の仕方を実演中です。
初めて行う操作なので、学生たちもM先生の周りに集まってきて、真剣に見ています。
このように、実験で初めて行う操作は必ず教員が実演して、正しい操作方法やコツなど
を説明しますので、高校や大学で実験経験のない方や、高校や大学以来実験をする機会
がなかった方でも安心です。
さらに、教員の実演を間近でじっくりと見ることができるのは、少人数制の土日学科の
魅力です。
実演を見た後は、各自が滴定操作に挑戦しました。
試料溶液の色変化を見守りつつ、実験操作を行うことに、始めのうちは戸惑っていた
学生たちも少しずつ慣れて、操作が上達していきます。
何度か繰り返すうちに、同じ色合い(今回の実験では薄くピンク色がついた時点が終結点
です)で操作を終えることができるようになりました。
実験終了後に学生に話しを聞くと
『身近な調味料を測定して楽しかったですし、実験結果も製品の表示値に近い値が出た
ので、とても達成感がありました。また、授業や実験で学ぶ知識や技術の関連性が見えて
きて、理解が深まりつつあるので、毎週末、授業や実験を受けるのが楽しみです。』
とコメントしてくれました。
基本の知識と技術を着実に覚えていくことで、様々なものが測れるようになります。
どんなものでも測ることができるマルチな分析化学者を目指して、今はしっかり基本を
修得していきましょう。
by みなと