2017.06.18
医薬品、化粧品、食品、化成品、金属材料など、様々なものづくりを行っている現場では、
新しい製品の開発(研究開発)や、安全・安心な製品ができているかの確認(品質管理)
といった場面で分析化学という技術が必要不可欠です。
本校では、分析化学を駆使して安全・安心で豊かな生活を守る「分析化学者」を育てています。
また、本校には平日に通学できない方を対象とした土曜日・日曜日開講の「分析化学応用学科」
があり、技術職への就職や転職、現職でのキャリアアップやスキルアップ、勤務先や
自ら経営する企業の事業拡大に必要な国家資格の取得などの様々な入学目的を持った
学生が在学しています。
このように多彩な入学目的を持つ学生に対応するため、分析化学応用学科は、1学年
あたりの定員を20名とする少数精鋭で開講しています。
さらに、土曜日・日曜日の通学で、平日の学科と同様に2年間で卒業することができ、
毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者の国家資格も
卒業と同時に全員が取得することができます。
何やら箱の中を覗き込んでいるのは、分析化学応用学科の1年生です。
実は、先週の実験で自分たちが作った物質が本当にアセチルサリチル酸(解熱鎮痛薬
バファリンの主成分)なのか、薄層クロマトグラフィーという分析技術を使って、確認
しているところです。
アセチルサリチル酸の溶液は無色なので、紫外線を照射して確認する必要があるため、
照射装置の中を覗き込んでいたのでした。
その結果、アセチルサリチル酸ができていることが確認できたので、続いて滴定という
分析技術を使って純度の測定を行いました。
薄層クロマトグラフィーも滴定も、これまでの実験で基本的な操作方法を学んでいます。
本日は、これまでに学んだ技術を駆使して、確認試験や純度測定といった品質管理で行う
実験を体験したのです。
さて、同じ頃、分析化学応用学科の2年生はというと、卒業研究(2年間の総まとめ実験)
の計画の立案と、それに基づくPFDの作成を行っていました。
担当講師から添削を受けたPFDの修正や、修正したPFDの確認を行っています。
PFDとはプロセスフローダイアグラム(Process Flow Diagram)の略称で、実験の流れを
示したフローチャートに、試薬の使用量やエネルギーの消費、廃棄物の発生などの環境へ
の影響を書き加えたものです。
本校は、平成12年8月に環境管理の国際規格であるISO14001を取得していますので、
卒業研究の実験計画を立てる上でも、環境への影響も考えるように指導しています。
本校の卒業研究は、環境影響やコストなども意識しながら計画を立案することから、毎年
2月に行われる外部の方も参加する発表会での成果発表まで、学生が主体となって取り組む
ため、研究開発にも役立つ実務能力が培われていきます。
さらに、分析化学は様々なものづくりの現場だけではなく、臨床検査や環境管理の現場
でも必要な技術です。
本校では2年間を通して、基礎から応用、そして実務へと実験レベルを上げていくことで、
自然と分析化学の技術と知識が身に付いていきます。
つまり、本校で分析化学を修得することは、様々な分野への就職・転職や、現職での技術
職へのキャリアアップなどの希望を叶えることにつながっていくのです。
現在、在籍している学生たちも、実験を中心としたカリキュラムを通して分析化学の技術
と知識を修得し、就職などの各自の入学目的をぜひ叶えてほしいと願っています。
今後も、学生たちが入学目的に向けて成長していく様子をお伝えしていきますので、
お楽しみに!
by みなと