2017.09.03
分析化学の実務では、業界を問わず、正しい分析結果を提供する知識・技術が求められます。
そのような技能を、平日に通学できない社会人や大学生等が身に付けられるよう、本校では
週末(土曜・日曜)開講の「分析化学応用学科」を設置しています。また、週末だけの通学
ですが、2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で3つの国家資格(毒物劇物取扱責任者・
化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者)を取得できるのは平日設置の学科と
同様であり、また平日設置の学科で学ぶ全ての専門分野を総合的に学べる特徴があります。
この「分析化学応用学科」で学んでいる学生は、技術職への転職や現職でのスキルアップを
目指す社会人や、事業の拡大を検討する経営層の方、また将来の就職活動を見据えて技能を
身に付けようとする大学生など、それぞれに入学目的があります。このような多様な目的に
マンツーマンに近い体制で対応するため、この学科は定員20名の少人数制となっています。
この学科の学生が進む業界は、環境・材料・バイオ・食品・医薬品・化粧品・有機合成...と
多種多様ですが、どの分野でも正しい分析結果が求められ、それを満たすには一つひとつの
操作で、実験器具を正しく取り扱うことが必要です。今日は、学生がどのようにその知識や
技術を修得しているのか、紹介したいと思います。
1年生は午後から「定性・定量分析実験」に取り組みました。今日の実験は先日のブログで
紹介しました「重量分析」の2日目です。前回、溶液中の鉄を沈殿に変えましたが、今回は
その沈殿をろ紙ごと坩堝(るつぼ)という器具に移して徐々に加熱していきます。最終的に
約1000℃の高温で加熱して組成が一定の化合物に変え、その質量を電子天秤で測定します。
この分析方法は、測定対象となる成分の質量を直接天秤で測定できる唯一の分析手法ですが、
それだけに繊細な操作も少なくありません。学生たちにとって、毎週が初めての実験であり、
今まで使用したことのない実験器具を取り扱うシーンがでてきます。そのような際は、本校
教員で執筆したテキスト「分析化学のべからず171」が活用されています(本校の教員が
執筆した書籍や、監修・協力などを行った書籍はこちらからご覧いただくことができます)。
このテキストは、分析機器・実験器具の取り扱いや分析操作で 「してはイケナイ」 禁じ手と
その理由等について説明しています。実験日よりも前に実施するガイダンスや、学生の予習、
当日の説明はこのテキストを用いて、正しい方法を注意事項も含めて理解していきますので、
学生たちは安心して実験に取り組めているようです。
2年次の前期が終了する頃には、してはいけない禁じ手 「171のべからず」 のほとんどを
修得できていると思います。それまで、一つひとつの実験操作の中で、確実に知識・技術を
身に付けてほしいと思います。来週も頑張りましょう!
by あずみ