2018.10.31
学生は、昨日から定期試験中です。そのため、実験室に学生の姿は無いのですが、
その間をねらって、学生へ実験指導する際の予備実験を行いました。
我々講師は、その実験が正しくできるのかを事前に試薬や分析方法、
分析機器の状態などを確認・検討しています。
今日は、植物の三大栄養素の一つであるリンの分析の確認実験を行いました。
この分析を実際に行うのは、生命バイオ分析学科 2年生の卒業研究です。
卒業研究は、複数名でのグループに分かれて実施しています。
その内、通称「しいたけ班」と呼ばれる学生たちがいます。
「しいたけ班」では、椎茸栽培で不要となった「廃菌床」の有効活用を考え、
これを肥料として用いてコマツナを栽培しています。
詳細はこちらをご覧ください。
研究を行っている中で、「廃菌床」にリンが多く含まれていることが分かり、
「廃菌床」に含まれるリンの資源化にも着目して試みようとしています。
リンは肥料や工業製品として大量に使われており、
リンの原料であるリン鉱石のほとんどが輸入に頼っています。
リン鉱石は海鳥の糞が長い年月をかけて堆積してできたもので、
近年の大規模な採掘によりあと数十年で枯渇すると言われています。
資源は大切に使っていきたいものです。
下の写真は、私くるくまが、実際に測定を行っているところです。
学生に指導することを想定しながら行います。
メスフラスコ内の液体が黄色になっています。
これはモリブデンイエロー法といわれる分析方法で、
モリブデンとリンが結合すると黄色に発色します。
リンが多いほど、黄色は濃くなります。結構きれいですよ。
次は分光光度計を用いて色の濃さを数値にします。
ここで得られた数値をもとに「廃菌床」に含まれるリンの含有率を算出しました。
計算の結果、「廃菌床」にはリンが1.9%含まれており、
市販の有機肥料にも劣らないことが分かりました。
このデータをもとにこれから学生とさらに卒業研究を進めていきます。
分析化学の世界でも機械化は進んでいますが、
人の手でしかできないこともたくさんあります。
その意味ではここで学んだ知識や技術は10年20年先も必要となります。
卒業研究の2年生のみんな、この2年間の集大成に向けて
もうひと頑張りしましょう!
By くるくま