2018.12.15
分析化学応用学科の1年生は、これまでに修得した
分析化学の基本的な知識と技術を応用し、
実務に通じる実験を行っています。
具体的には、国や公的機関が定めた分析方法を用いて、
食品や河川水などを対象とした分析をしています。
まずは、基礎から応用へと徐々にステップアップしていき、
その過程で実務能力を養うことができる「分析化学応用学科」
についてご紹介します。
「分析化学応用学科」は、平日の学科には通学できない社会人や
大学生等を対象とした週末(土曜・日曜)開講の学科です。
この学科では、平日の学科で学ぶ環境・材料・バイオ・食品・医薬品・
化粧品・有機合成等の専門分野を総合的に学ことができ、
多種多様な分野に応用が利く人材の育成を行っています。
また、週末だけの通学ですが、以下は平日の学科と同様です。
・2年間で卒業が可能
・毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者
の国家資格等を卒業と同時に無試験で取得することが可能です。
この学科に在籍している学生は、入学目的も様々です。
事業の継続や拡大に必要な国家資格の取得を目的とする経営層の方、
現職でのスキルアップや技術職への就職・転職を考えている方、
さらに就職活動を見据えて技術力を高めるために大学生も入学してきます。
このような多様な目的に対応するため、学年定員20名の少数精鋭で開講しており、
学生一人一人に合った指導を行っています。
上の写真で、学生たちが手に持っているのは、私たちが日常生活の中で
食べているスナック菓子と栄養調整食品です。
今日1年生は、「原子吸光光度計」という分析機器を使って、
これらのスナック菓子や栄養調整食品の中にどれだけ「カルシウム」が
含まれているのかを調べる成分分析を行いました。
実際のサンプルを分析する時は、サンプル中の調べたい成分以外の
余分な成分を取り除く「前処理」という操作が必要になってきます。
そのため、まずは前処理として、サンプル(スナック菓子や栄養調整食品)を
乳鉢ですりつぶします。
すりつぶしたサンプルを、るつぼという容器に入れて、ガスバーナーで強熱し、
灰の状態にします。
さらに電気炉の中でサンプルを約600℃で加熱し、完全に灰の状態にします。
上の写真のように、電気炉から取り出したサンプルは、
るつぼの中で完全に灰の状態になっています。こうすることで、
分析を妨害する成分を取り除くことができ、正確な分析が可能になります。
この後、学生たちは、灰の中のカルシウムを溶液中に溶かし出し、
原子吸光光度計で測定するための試料を作りました。
そして、「原子吸光光度計」でサンプル中のカルシウムの濃度を測定しました。
さぁ、測定結果はどうなったでしょうか?
今回の測定では、とても良い実験結果が出ていました!
前処理をうまく行っていないと、良い実験結果は得られません。
つまり、学生たちは基礎的な実験操作技術をしっかり修得できている
ということです。
学生たちに今日の実験の感想を聞くと、
「今日の実験は、身近な食品を使った実験だったので、とても楽しかったです!
実験がうまくいってとてもうれしかったですし、実際のサンプルを扱うときは、
前処理がとても大事だということがわかり、今日はとても充実した時間を
過ごすことができました。次の実験も、とても楽しみです!」
「これまで習ってきた基礎的な実験操作を活かせる場面が、
今日の実験には何度もありました。特に原子吸光光度計を使った
サンプルの測定は、以前の実験で基礎から丁寧に分かりやすく
教えてもらっていたので、応用の実験になっても困ることはありませんでした。
基礎と応用の2つの実験で原子吸光光度計を何度も扱うことができたので、
完全にマスターすることができました。」
といった感想を聞くことができました。
学生が感想で言っていたように、今日の実験は、実務に通じる
応用的な実験でしたが、基礎的な分析機器の操作方法を学ぶ「機器分析化学実験」で、
学生たちは「原子吸光光度計」を以前に扱ったことがあります。
そのため、今日のような応用的な実験であってもスムーズに
実験に取り組むことができたようです。
(以前行った実験はこちらのページをご覧ください)
このように「分析化学応用学科」では、基礎と応用の実験が互いにリンクし合っており、
基礎から応用へと段階的に学べるカリキュラムになっています。
そのため、化学初心者の方でも無理なく楽しく実験に取り組むことができ、
その過程で実務能力を養うことができます。
学生の皆さん、基礎と応用の実験を通して、分析化学の理解を
どんどん深めていってください。
そのために我々教員が全力でサポートしていきます!
By しろいるか