2019.09.24
今日は1年生の機器分析化学実験の様子をお伝えします。
1年生の前期の実験では、自分たちの手でガラス器具などを使い実験を行う
「手分析」といわれる手法を中心に学びました。
9月から始まった後期は、それらの経験を生かして、
分析機器を使った分析方法を学びます。
分析機器のことは「機器分析化学」という授業でも原理を学びますが、
本格的に分析機器を触り、実験を行うのは、この実験が初めてとなります。
後期の実験が始まり、先に2回の実験ガイダンスを行いました。
そして、いよいよ今日から本格的な実験が始まったのです!
分析機器を使用するといっても、大切なことは試料の準備(前処理)です。
前処理とは、実際の分析を行う前に、確かな結果を得るために、
いろんな方法で試料を処理することを言います。
このひと手間、ふた手間が分析の結果を大きく左右するのです。
実験は、使用する分析機器ごとに班に分かれて実施します。
上の写真の班は、「赤外線吸収スペクトル分析法」を行うために、
試料を錠剤にする前処理を行っていました。
「赤外線吸収スペクトル分析法」とは、赤外線という光の一種を使う分析方法です。
赤外線は、テレビのリモコンにも使われている光で、私たちの目には見えません。
この赤外線を試料に当てることで、試料がどのような化学的な構造をしているのかを
知ることができます。
新たに開発・合成した物質の化学構造を確認するために使われたり、
製品の中に混入した異物の成分を分析する際に使用される分析方法です。
今日の実験では、分析しやすくするために試料と他の薬品とを混ぜ、
錠剤にしました。錠剤を作るための円筒や突版はとても小さく、
最初はピンセットでつまむのに苦労していましたが、
M先生(下の写真、左手前)から、ちょっとしたコツを教わると、
みんなできるようになっていました。
機器分析化学実験では、分析機器に試料をセットすると、
きっちりと測定・分析をしてくれますが、
試料の調製がうまくできていなければ、正しい結果が得られません。
このようなことを実感することは、とても大事な経験であり、
今回、学生たちは自分の手で行う前処理が分析結果を左右するということを
体感し、学ぶことができたようです。
1月まで続くこの実験では、少なくとも8つの分析機器を扱うことになります。
学生には、授業で習った原理を復習しながら、たくさんの分析機器を使い、
分析技術を1つずつしっかりと身に付けてもらいたいと思います。
by かん太郎