2020.09.05
分析化学応用学科(2021年度より化学分析学科へ名称変更予定)の1年生は
これまでに滴定という実験操作の1種である中和滴定を何度も行ってきましたが、
本日は酸化還元滴定という新しい滴定の手法を学びました。
化学分析には、物質の性質を利用して、未知試料中に含まれる成分を見つけ出す定性分析と、
未知試料中に含まれる成分の濃度を求める定量分析があります。
定量分析の実験方法の中には、簡便に手作業で濃度を求められる方法として
滴定という実験方法がありますが、滴定の中にも様々な種類があります。
試料の酸度やアルカリ度を測る中和滴定、塩分濃度を測ることができる沈殿滴定、
金属イオンの濃度を求められるキレート滴定、そして今回1年生が挑戦した酸化還元滴定です。
この酸化還元滴定は食品分野や化粧品分野などで油脂の劣化具合を測定する時や、
環境分野で河川などの汚れ具合を測る時、材料分野で素材中の組成分析を行う時など
様々な分野の分析の現場で用いられている分析技術です。
今回は酸化還元滴定の中でも過マンガン酸カリウムという試薬を使う方法を学びました。
写真は過マンガン酸カリウム水溶液(紫色の溶液)をガラスフィルターでろ過しているところです。
学生たちはこのような準備の仕方から、紫色が付着したガラス器具を洗浄する片付けの仕方まで、
自ら行うことで覚えていきます。
こうすることで実験の一連の流れを自ら行えるようになり、即戦力へと成長していくことができます。
このように実験技術を、実務能力の育成を念頭に置きながら初歩から学ぶことができる
「化学分析学科」について、ここでご紹介します。
本校には、平日に通学できない方を対象に週末(土曜日・日曜日)だけの通学で、
平日の学科と同様に2年間で卒業することができ、国家資格を含む4つの資格
(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者・環境管理士(2級))も
卒業と同時に全員が取得することができる「化学分析学科」があります。
この学科では、技術職への就職や転職、現職でのキャリアアップやスキルアップ、
勤務先や自ら経営する企業の事業拡大に必要な国家資格の取得などの
多種多様な入学目的を持った学生が学んでいます。
また、このように多彩な入学目的を持つ学生に対応するため、
化学分析学科は、1学年あたりの定員を20名とする少数精鋭で開講しています。
滴定操作は慣れていますが、このように濃い色の溶液で滴定するのは初めてですし、
滴定の途中で加温する操作などもあるため、学生たちは慎重に実験を行っていました。
(この実験では本来は褐色のビュレットを用いますが、濃い色の溶液をビュレットに入れて
実験するのは初めてなので、目盛りが読みやすいように、今回はあえて透明のビュレットを
使っています。)
実験を終えた学生たちは
『今回の方法が、私たちが普段使っている食用油の品質管理にも使われていることを聞き、
すごく身近に感じました。この学校で学ぶ技術は1つ1つが仕事につながっているのだな
と改めて思いました。そのような技術をたくさん吸収していきたいと思います。』
『これまでの滴定と異なり、ビュレットに入れる溶液に濃い色が付いていて、
目盛りが読み取りづらく、最初は慣れませんでした。しかし、化学分析学科は少人数で、
1回の実験中に何度も滴定を行えるので、慣れることができ、良かったです。』
と話してくれました。
この後も、醤油の塩分濃度を測定する実験で沈殿滴定に、
水の硬度を測る実験でキレート滴定に、それぞれ挑戦します。
実務につながる技術を、1つ1つ興味を持ちながら、学んでいきましょう。
by みなと