2022.06.27
本校は土曜日、日曜日だけ開講している『化学分析学科』という学科があります。
この学科は平日開講の学科に通学できない社会人や大学生、フリーターや主婦などを
対象にしており、新卒での就職、転職、今のお仕事でのスキルアップ、資格取得などを
目標として学んでいます。
この学科では平日に通学する学科と同様に2年間で卒業でき、取得できる資格も同じです。
また、学年定員20名なので学生ひとり一人に丁寧な指導ができることも特徴です。
卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・
化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できるため、
近年は化粧品関連の資格取得を目的とした方の入学も増えているように感じます。
70%が新卒高校生の平日開講学科に比べ、化学分析学科の学生は年齢層も幅広く、
今年度も20代前半から60代の方まで幅広く入学し、学んでいます。
今日の1年生は定性分析実験のガイダンスの日でした。昨日2年生が受検していた化学分析技能士の
実技試験内容とも直結した内容ですので、1年生達は昨日の先輩の姿と来年の自分の姿を重ねながら
M先生の説明を聞いていたようです。
今までの基礎化学実験では『先生、計算苦手やわ』と言っていた学生も、定性分析実験では
計算よりも物質が沈殿したり溶液の色が変化をするときの『観察』が重要になりますので
次回からはそこに力を入れて実験ノートの作成をしていきましょう。
2年生は今日は『高分子の合成』を行っていました。作っていたのはポリ酢酸ビニルという物質で
チューイングガムのガムベースや木工用ボンドにも使われている物質で、さらにこの物質から
洗濯のりや高吸水性のタオルの繊維が作られたりするなかなかのマルチプレイヤーな物質です。
最初は接着剤のような香りのする透明な液体ですが、反応をスタートさせる物質をまぜて加熱すると
5分も経たないうちに白く濁り始め10分もすると牛乳なみに真っ白な液体になりました。
固まり状のプラスチックを想像していた、学生達は『この白い液体がプラスチックですか?』
と不思議そうな顔で観察をしていました。
40分ほど反応させて、原料の液体がすべて反応を終えたのち、この牛乳のような物質に食塩水を
加えました!するとなんと言うことでしょう。今まで白濁した液体で、固体があるようには
見えませんでしたが、手のひらサイズのお餅のような固体が現れました。
それがポリ酢酸ビニルなのです。
実験終了後Nさんに話を聞いてみると『入学前にオープンキャンパスで金貨を作る実験をしましたが、
そのときと同じぐらい面白かったです』と語っていました。
これまでは『サンプリング→測定』という流れの実験が多かったですが、『ものづくり(合成)→検査』と
いう実験はアスピリンの合成ぐらいだったかも知れません。分析専門の企業に就職していく学生も
いますが、多くの化学系企業では製品の製造部門と品質管理部門をもっています。
ものづくりの楽しさを知った上で検査・品質管理のできる技術者をめざして頑張ってくださいね。
なおこの実験には続きがあります。次回はこのポリ酢酸ビニルが別の高分子に変身します。
どう変わるのか次週の化学分析学科のブログを楽しみにお待ち頂けると幸いです。
by ドラいちろう