せんせのブログ

【土・日開講「化学分析学科」】量より質?物性を調べる実験に挑戦

2023.01.29

本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。

この学科は高校卒業すぐに入学することも出来ますが、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得のための学科です。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している者や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。

平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。

毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業するため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、愛知県や徳島県から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。

今日の1年生は、機器分析化学実験でFT-IR(赤外分光光度計)とDSC(示差走査型熱量計)とTGA(熱天秤)を用いた実験を行いました。
FT-IRは最近本校によくいただくテレビ番組の取材でもよく活躍してる機器で、先日放送されたものではニセモノの化粧品とホンモノの化粧品を見分ける際に活用しています。

熱分析(DSCとTGA)の実験では、硫酸銅5水和物を加熱して、どのように分解していくかを調べました。この物質には5つの水分子が付いていますが、加熱するとどのように分解するかを調べるのです。1個ずつ外れるのか5個同時に外れるのか加熱しながら観察しました。

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わずか5mgのサンプルで分析するのですが、学生達は機器の操作よりも5mgのはかり取りの方が難しかったようです。

もう1つのFT-IRの実験では身のまわりのプラスチックフィルムを測定し、どんな素材で出来ているかを調べました。見た目には同じようなフィルムに見えても、また違う素材に見えても、赤外線を用いて調べてみると同じプラスチックか異なるプラスチックかを調べることができます。今日試したサンプルでは意外といろんな商品からポリプロピレンが多く検出されました。

学生達は今までは量をはかる実験がほとんどでしたから、見た目に違うプラスチックなのに、FT-IRで調べると同じプラスチックだと分かったときには不思議そうにしていました。

実験が終わり、教室に帰ってからはデータの解析方法の説明をうけて、今日の結果をまとめています。

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自宅に帰ってからレポートに取りかかるとどうしても分からないところがでてきます。主要なデータ解析は学校にいる間に先生に質問したり、クラスメイトと相談したりしながらレポートの主な部分を仕上げて帰る習慣ができているようですね。

1年生の実験もあとわずか。1年目で様々な機器が扱えるようになるのは本校の特徴のひとつです。しっかりマスターして、2年生での学習に備えてきましょう。

by ドラいちろう