2023.12.25
本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。
この学科は高校卒業すぐに入学することも出来ますが、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をするための学科です。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している者や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。
平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。
毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業するため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、静岡県や徳島県から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。
本日の1年生の実験は応用分析化学実験Ⅰ。基礎化学実験や定性・定量分析実験、機器分析実験で学んできた実験技術を応用して、実際に身のまわりにある食品や医薬品、金属や環境の分析を学ぶ実験です。今日の実験内容は水質分析のひとつであるCOD(化学的酸素要求量)の実験です。学校の前を流れる大川(淀川水系)の水質を分析します。
本来、CODは河川のような流水域の分析には用いず、湖沼や海域のような止水域の分析に適用するのですが、その辺りは訓練ですので気にせずに実施していきます。大阪城のお堀がもう少し近ければ、そこまで行くのですけどね。
CODはそんな検査かというと、環境水中に含まれる被酸化性物質(主に有機物)の量を量る分析法です。この値が多ければ、水は汚れているということを意味します。
学生達は学校を出て徒歩1分の距離にある大川の川岸からバケツを投げて採水をしました。水を採取するときに、水に空気が含まれると値がズレてしまうので、本当は専用の採水器を用いるのですが、そこも簡易的に実施します。
採水が終わると、実験室に戻って実験操作に移ります。紫色の液体(過マンガン酸カリウム溶液)を用いて、実験を行います。
河川水に紫色の液体が混ざると紫色が消えていきます。被酸化性物質(有機物)が全部反応し終わると、コニカルビーカーの中の溶液がうっすらと紫色~ピンク色になります。
先日、定性・定量分析実験で学んだ酸化還元滴定が、すぐに実際に環境分析の企業等で行われている仕事と同じ応用例として学ぶことができる、これが本校の実験の良さと言えるところですね。
by ドラいちろう