せんせのブログ

【土・日開講「化学分析学科」】前回と異なる視点で学校前の河川で水質分析!

2024.01.07

本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。

この学科は高校卒業すぐに入学することも出来ますが、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をするための学科です。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している者や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。

平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。

毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業するため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、静岡県や徳島県から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。

以前に、本校の化学分析学科の学生が学校前の河川(大川)の水質を分析している様子をお伝えしました。そのときはCODという項目で、主に河川水中の有機物量を調べる実験でした。河川の流域から腐葉土が流れ出していたり、生活雑排水が多く流入していたり、微生物が多く存在したりすると数値が上がる水質汚濁の指標を測定しました。

今日は、河川水中にどれだけ酸素が含まれているかを調べるDO(溶存酸素)の測定を行いました。

河川中に酸素が多く含まれると、分解される有機物などが少なく、きれいな水であると言えます。つまりCODは数値が大きいと汚れた河川、DOは数値が大きいときれいな河川であると言えます。なんでも数値が大きいと『汚染されている!』と考えがちですが、その辺りも誤解しないようにM先生は注意しながら指導していました。

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今日の実験では河川水中に溶けている酸素の量を測定しますので、前回のようにバケツで水を汲んでいては汲み上げ時や容器に河川水を注ぐ際に空気中の酸素が余分に溶け込んでしまう可能性があります。そのため、この実験ではバンドーン採水器という特別な器具を使って採水します。(上の写真中央の円筒形の白い器具)

この器具は筒を水に沈めてからフタをして地上に引き上げることができます。また汲み上げた水はチューブを通して泡立てないように容器に入れることができるように工夫されています。それでも慣れないとコップに水を注ぐようにジョボジョボ入れてしまうので、M先生が学生に注意しながら水を注いでいます。

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実験室に戻ってからは、酸素の固定を行います。試薬を入れて、茶色い沈殿ができると多く酸素が含まれています。逆に含まれていないと白い沈殿になります。固定化した後に、それを硫酸で溶かします。

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この時に酸素の量に応じてヨウ素が生成するので、その量を滴定で求めます。黄色い溶液の色が薄くなるまで滴定を進めて、薄くなったところででんぷんを入れます。そうすると小学校でも習ったヨウ素デンプン反応で溶液の色が濃い青紫色になります。薄い黄色の溶液では、いつ黄色が消えたのか判別しにくいのですが、この濃い青紫色に変化させてから色が消える反応はとても見やすいので、滴定の終点がとても解りやすくなります。

学生達は『小学生の時には、ヨウ素を使ってでんぷんに色を付けるのが何の役にたつのだろう?と思っていましたけど、今日やっと役に立ちましたね』と語っていました。そうです。小学校や中学校で習った理科の実験は、分析化学を仕事にする際に、実はけっこう役に立つのです。

好きだった理科の実験が、実は仕事の役に立つんだ、と言うことを理解出来た喜びは、今後も実験に真摯に取り組む原動力になると思います。これからも楽しみながら実験を進めていきましょう!

by ドラいちろう