せんせのブログ

文部科学省委託事業 成果報告会 ~できました!化学実験のVR化!~

2024.02.14

本校では令和3年度から文部科学省の委託事業である「専修学校における先端技術利活用実証研究」(専修学校遠隔教育導入モデル構築プロジェクト)の一環として、「化学分野等における先端技術を活用した実習科目の遠隔教育モデル構築事業」に取り組んでいます。

このプロジェクトの概要を一言でいうと、「実験のVR化」です。
『仮想空間の中で化学実験ができるようにしよう!』ということです。

今年度、3年計画プロジェクトの3年目にあたり、結果を出さねばならな時期を迎えました。
結果は、、、『化学実験のVR化、できました!』
と言えるところまで成果を出すことができました。

本事業をスタートさせる切っ掛けは、新型コロナウイルス感染症の拡大です。
未知の感染症が拡大した影響でリモート授業のニーズが高まり、実際に活用される教育現場も増えたことにあります。遠隔で授業はできても、実験実習となれば実際に実験室で行う必要があり、教育の機会すら得られなくなるという現実を目の当たりにし、VRで行う化学実験を新たな実験実習のモデルとして構築することを目的として取り組んできました。

今日は今年度の、これまで3年間の取り組みの成果報告会として、本事業の委員長でもある本校校長がWEBで配信しました。WEB視聴されている方々は、本校の求人企業様をはじめとする各業界の企業様や、高校の先生方などです。
下の写真は、同日に開催した本事業実施委員会の皆様がWEB視聴されている様子です。映像は写真奥の電子黒板に投影されています。
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この事業の実施委員会には、 日本化学会、大阪府職業能力開発協会、複数の高等学校、 大阪府専修学校各種学校連合会工業部会、化学分野やインターネット産業に関わる企業や団体、そして複数の専門学校など、多方面から多数の皆様に委員としてご参画いただいています。
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実施委員会は今年度3回目の開催となります。過去の様子は、こちらのブログをご覧ください。
文部科学省委託事業 ~実験VR化へ3年目の挑戦~(今年度第1回 実施委員会)
文部科学省委託事業 ~実験VR化へ確かな手応え~(今年度第2回 実施委員会)

この3年間を振り返ると、始まったときは「本当に実現できるだろうか」という気持ちで、私ぽてとは感じながらのスタートしたことを覚えています。本事業で、他に化学実験のVR化の実績を調べると、現実に今使えるものはなく、ゼロからのスタートとなりました。
それから1年経ち、2年目には簡単な滴定実験ができるようになりました。下の写真はその時に学生が取り組んでいる様子です。VRゴーグルをかけると、目の前の仮想区間に実験室が出現したとき、学生たちは思わず「うわぁ~」という声を発していました。


学生たちのVRゴーグルの中で見えている実験の様子です。


このVRゴーグルで見える実験室も3年目にはさらに進化し、検証した結果から学修効果も得られると評価できるものになりました。
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このVR化への道のりの中では、本校学生だけでなく、あえて実験経験のない大阪高等学校のみなさんにも協力をいただきました。動画で予習をしてもらい、実際に本校の実験室で化学実験にも取り組んでもらいました。下の写真はその時の様子です。
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VRゴーグルで事前に学修したガスバーナーの付け方を実験室で実践してもらいました。
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また、動画学習においては画面上に出てくる講師のアバター化にも取り組みました。我々講師は化学や分析を教える専門家ですが、デジタル分野に取り組むことに慣れない中、講師陣で力を合わせた作り上げてきました。
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最後には、仮想空間に学生と指導教員が一緒に存在するメタバース化も実現し、より実験指導を臨場感を持ってできるようになりました。
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最後に、実施委員会の各委員からこの3年間の取り組みの感想を述べていただきました。
多くは、この事業をこの3年間で終えることなく続けて欲しいという声でした。
その中、1名の委員が
「この実験VR化は大事で、こらからの時代に必要なことに間違いはなく、
 さらに加速して取り組んでいって欲しい。そこに加えて、活用する高校生や専門学校生が
 ここで学んでいる技術がどのような仕事で生かされるものなのかという、
 キャリア教育という視点も、是非とも持って進めてもらいたいし、
それができる取り組みだと思う。」
と述べられました。

是非とも、そうありたいし、そのようにこの事業を発展させていきたいと感じました。
コロナ禍で制限された環境で教育を受けてきた中学校や高校生の生徒さんは、
このような実験をする、体験をする機会が実際失われてきました。
併せて、将来の職業を考える機会も減っていたというお話も委員会の中で出てきました。

この事業としては、3年間で1つの区切りとなりますが、今後、少しでも化学教育に寄与できる形にまでできればと思います。
最後に、この事業に対して関わっていただいた皆様にお礼を申し上げます。

これまでの本事業の成果や、その他の文部科学省委託事業に関する成果はコチラのページにまとめていますのでご覧ください。

By ぽてと