せんせのブログ

【土・日開講「化学分析学科」】これまで学んだ実験の繋がりを感じよう!重量分析実験

2024.07.29

本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。

専門学校と言えば、高校卒業すぐに進学する学校と考えて居られる方も多いと思いますが、この学科では、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をするための学科です。もちろん『高校を卒業していること』が入学要件ですので、高校を卒業してすぐに入学してきた学生も各学年に1名ずついます。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している方や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象ですね。

平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。

毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業するため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、遠方から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。

今日の1年生は『重量分析実験』というテーマの実験に取り組みました。鉄やいくつかの成分を含む溶液から鉄だけを沈殿させて、乾燥させて、ろ紙などは焼いて分解して、最終的に酸化鉄(Fe₂O₃)にして分析する実験です。実験装置も天秤程度しか使わないのですが、重量分析は滴定などの容量分析に比べて精度も高い重要な実験です。

『沈殿を作って重さをはかるだけ』と考えている学生達は上手くできるのでしょうか?

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この実験では①バーナーで焼く、②デシケータ内で放冷する、③秤量する、を繰り返して行いますが、焼く時間や放冷する時間を揃えないとなかなか結果も揃わないため、事前にM先生が注意事項を説明しています。

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基礎化学実験が終わり、基礎的な器具はしっかり扱えるようになったCくんやSくんは丁寧に実験に取り組んでいます。

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鉄を含む溶液は最初薄い緑色をしていますが、酸化させて黄色い溶液(写真左)にします。この溶液をアンモニアでアルカリ性にしていくと赤茶色の沈殿(写真右)がでてきます。この茶色い沈殿をろ過して回収して鉄分量を測定します。

本校で学ぶ実験は、それぞれの独立しているようで、実はあの実験のあの部分が応用されている、というものがたくさんあります。今日の実験でも前々回に定性分析実験の第3族で行った実験が応用されています。第3族には鉄も含まれており、鉄イオンを酸化させてからアルカリ性にして沈殿を作っていました。他の金属を巻き込まずに鉄だけを沈殿させるポイントをならったのですが、今日の実験でもそれが応用されています。

また今日の実験では硫酸イオンが不純物として残ると困るので、よく洗浄します。洗えたかどうかの確認も定性分析の第5族でバリウムの確認をするための実験が使われています。

一見、それぞれの実験に繋がりはないように感じていても、割といろんな繋がっています。「大学受験の化学は暗記科目」だと思ってきた人も、本校で2年間実験を学んだら、基本として押さえる技術とそれらの繋がりで様々な応用実験があるということを理解できるようになると思います。

学生達は、今日とても暑かったこともあり『先生、なんでこんな暑い日にバーナーでるつぼを焼くような実験するんですか』とも言われましたが、ある程度実験の基礎力が付いて、定性分析実験の知識も少し身についた段階で、鉄の重量分析の実験を学んでもらうと、一気にこれまで学んだ実験知識が繋がってくると私たちは考えています。ですからちょっと暑かったですけど、今日この実験をやったのです。

次回は得られた沈殿を焼いて酸化鉄だけにしていきます。

もう少し暑さのを乗り越えて実験をがんばりましょう。ちなみに今回の重量分析で行った内容は2年生の『重量分析法』でも学び直します。今日の経験を忘れないでくださいね。

by ドラいちろう