せんせのブログ

【土・日開講「化学分析学科」】鉄はどれだけ含まれている?重量分析実験

2024.08.19

本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。

専門学校と言えば、高校卒業すぐに進学する学校と考えて居られる方も多いと思いますが、この学科では、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をするための学科です。もちろん『高校を卒業していること』が入学要件ですので、高校を卒業してすぐに入学してきた学生も各学年に1名ずついます。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している方や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象ですね。

平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。

毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業するため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、遠方から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。

今日の1年生は『重量分析実験』という実験の2回目です。7月に鉄を含む溶液から沈殿をつくってろ過するところまで行いました。今日はそれをるつぼという小さい瀬戸物のカップにいれて水分やろ紙を加熱・分解して酸化鉄(Fe2O3)だけにするという操作を行います。

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酸化鉄だけになるとその式量は分かっていますので、その中に鉄は何グラム含まれていることが計算できるのです。実験を前回までは定性分析実験で学んだ第3族の沈殿の作り方と共通していましたから、アンモニアを混ぜてアルカリ性にして沈殿をつくって...、とあまり計算を必要としませんでしたが、今日は計算が必要です。

またこの実験は根気が必要です。るつぼに入れてバーナーで焼く操作は1回で済むとは限りません。水分など不要なものを飛ばしていくといつか重さは一定になるはずです。るつぼ+沈殿の重さが一定になるまで何度も繰り返しバーナーで焼くという操作を繰り返します。幸い今日は3回目までにすべてのるつぼの重さが一定になったようでした。

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学生達はこのあと沈殿の重さを元に、鉄分がどれだけ含まれていたかを計算していきます。レポート提出まで少し時間がありますので、おうちで計算できなかった場合は次週学校で質問してくださいね。

化学分析学科は、毎週学校に登校して、直接不明点を質問できるところはいいところですね。今日は実験操作は早めに終わったので、何人かは教室に残って計算を行い、質問などにも来ていましたし、みんな限られた時間の中で頑張っています。

さぁ、次の定量実験は中和滴定です。基礎化学実験でも何度か繰り返し行っている実験です。今度はより厳密に公定分析法(JIS法、日本薬局方)に基づいた実験を行います。

実験操作は大きく変わりませんが、いろいろ工夫された実験方法です。楽しみにしておいてくださいね。

by ドラいちろう