2024.09.15
本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。
専門学校と言えば、高校卒業すぐに進学する学校と考えて居られる方も多いと思いますが、この学科では、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をするための学科です。『高校を卒業していること』が入学要件ですので、高校を卒業してすぐに入学してきた学生もおり、今年度は各学年に1名ずついます。
入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している方や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。
平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。そのため近年は資格取得を目的とした方の入学が増えているよう思います。
毎週土日の2日のみの通学で、平日開講学科と同様に2年間で卒業できるようにするため、1日の授業時間数は多くなりますが、それでも他校にはない特徴の学科と言うことで、例年全国各地から学生が入学しています。京阪神地区の学生が多いですが、遠方から週末だけ登校し土曜日の夜は大阪で一泊して日曜日の授業が終われば地元に帰るという生活をしている学生もいます。
今日の1年生は分光光度計という分析機器を用いて鉄を含む化合物中の鉄の含有量の測定を行いました。
酸化還元滴定という方法で鉄の量を量りましたが、今回は分析機器を用いて測定します。
多くの機器分析的手法では、濃度を段階的に変化させた溶液を測定して、検量線というグラフを作成します。そのグラフに濃度未知のサンプルを当てはめて、未知試料の濃度がいくらかを調べます。今日の実験でもまず濃度の異なる溶液を作成します。今日の実験で用いる溶液はオレンジ色をしていて、濃度の違いが目視で分かるので分かりやすいですね。透明の溶液を測定することもありますので、取り違えることのないようにフラスコやビーカーにはラベルを貼って間違いを防ぎながら実験をします。
濃度の順に溶液を調製し、きちんと順番通りに並べていると間違えることは減りますね。このように実験中も整理整頓を心がけて実験をすることが大事です。
この後、機器に溶液をセットして測定を行いました。どのグループも直線性のよいグラフが得られ、未知試料の濃度もきちんと求められそうです。
実験後、学生達に聞いてみると『今日も鉄の分析かと思いましたが、重量分析、酸化還元滴定、機器分析(吸光光度法)と3つの方法で分析方法を経験できたので、鉄という物質をはかるだけでも様々なアプローチがあることが理解できました。経験してみるって大事ですね』と語っていました。
大阪から東京に行くにも様々なルートがあるように、実験方法にも様々な方法があります。様々な実験を経験して所要時間やコストなども理解した分析技術者に成長してくださいね。
by ドラいちろう